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死ねば異世界に転生できると聞いて電車に飛び込んだのに、なぜか地獄に堕とされた

作者:アホウドリ
 彼はこの日、22時32分になってもまだ仕事を続けていた。最後に定時退社したのはいつだろうか。くたくたになりながらもようやく仕事を終えて、終電に走る毎日に嫌気が差していた。そうして彼は、その場から逃げ出すことを決めた。

 駅に着き、これまでの人生について考えた。これまでの俺は、一体何を楽しみに生きていただろう。それすらも仕事のせいで忘れてしまったのだ。もうこんな毎日、耐えられない。そうして彼は、電車に飛び込んで死ぬことに決めた。これでもし異世界にでも飛べれば、さぞや平和な毎日が待っているんだろうなぁ。

 彼は線路に下りると、正面を向いて電車を待った。それから間もなくすると電車がやって来たので、彼は思い切って目を閉じた。しかし、しばらく待っても痛みが全然やって来ない。なぜなら彼は死んでいなかったのである。

 おかしいと思って目を開くと、正面には悪魔を名乗る者が浮いているのが見えた。そして彼女は口を開き、妙なことを言い出した。

「お前のせいで三人もの人間が死んだ」

 悪魔はそう言って、彼に向けて三人もの人間が死に至るまでの映像を見せ始める。
 そこには、彼が犯してしまった過ちが映っていた……

第29回電撃大賞 原題「地獄に堕とされた男」一次選考通過作品です。
三人の死
2022/08/12 21:27
一人目の死
2022/08/13 18:18
ことの真相
2022/08/14 10:27
未来から現在に
2022/08/14 21:35
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