試食会
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スズランと楽しい晩酌をした夏希。
宿屋での朝、夏希はアスザックと話をしようと食堂に足を向けた。
「アスザック、おはよう。時間が空いたら席に来てくれ。屋台の件だ」
「夏希兄ちゃん、おはよう。判ったーもう少しして行くから待っててな！」
食堂には2日前から泊まっている2人組の女性冒険者が居る。2人共筋肉が美しい美女だ。挨拶程度だが面識がある。
2人にも試食して貰おうかな。
「おはようございます。夏希と言います。少しだけ時間大丈夫ですか？」
なんか路上で声掛ける人みたいだな…
「ああ、おはよう。今日はのんびりしてるから大丈夫だよ。何か用かい？」
「実は近々、屋台を出そうと思ってまして、その商品を食べて感想を頂けたらと」
2人筋肉美女はお互いを見て目でどうするか確認している。(OKみたいだな)
「食べたばかりだから少しだけならいいよ。あと私達はAランク [ 女神の鉄槌 ] のスザンヌとビエラだ。宜しくな」
「はい、宜しくお願いします。それで2種類あるんですが少し食べて後は残してもらって構いません。1つはフルーツ飴でもう1つはソースの付いたパンみたいな物で箸巻きと言います」
夏希はアイテムボックスからフルーツ飴と箸巻きを取り出して2人の前に置いた。2人は珍しそうに手に持って眺めたり匂いを嗅いでいる。
「このフルーツ飴は見た目が綺麗だね。女性と子供に受けそうだよ。箸巻きは食欲そそる匂いだね。これは男連中が群がりそうだよ」
スザンヌさんが話してビエラさんが頷く。最初にフルーツ飴を食べてその後に箸巻きを食べ始めると、何も言わず2人共にそのまま完食した。
「この箸巻きは旨いね！これは皆に受けるよ。匂いもいいし味もいい、食後なのに全部食べちゃったよ。フルーツ飴も美味しかったよ」
これもスザンヌさんが話してビエラさんが頷く。
好評のようだ。(良かった)
夏希は2人にお礼を言って席に戻った。
(アスザックは遅いな。もう30分は経ってる)
夏希がそう思っていると4人の男の子達が来た。
「夏希兄ちゃん遅くなってごめん。仲間を呼びに行ってたんだ。走って来たけど時間掛かった」
そういう事だったんだ。
「紹介するな。右からハルマン、テンド、コノスバだ。3人はスラムに子供達だけで住んでるんだ」
3人は頭をちょこんと下げた。
ここでスラムの子供達と繋がるんだ…どうしよう、親しくなったら首を突っ込みそうだな。(あと、コノスバってそれは…)
「夏希だ、宜しくな。早速食べてみるか」
スザンヌさん達と同じ様に説明して商品をテーブルに置き、食べるように進める。さすが男の子だフルーツ飴は無視して箸巻きにかぶり付いた。
「「「「 うんめぇー！」」」」
見事なハーモニーが宿屋に響き渡る。
「夏希兄ちゃん、これは絶対売れるよ！バイト代は売り上げの2割にするから！」
まだフルーツ飴食べて無いよね…(食べて…お願い)
その後は、フルーツ飴も食べていたがコッチも好感触だった。屋台を出す場所と日にちが決まったら再度集まる事にして部屋に戻った。
3人とは必要以上に話をしていない。今はまだ深く関わるのを躊躇してしまった。
