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集団転移にあった商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!  作者: 七転び早起き
獣人村たぶんスローライフ編
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夏希は夏祭りをプロデュースする

読んで頂きありがとうございます。


ブクマ、いいね!、評価★5


お願いします。

 朝御飯を食べたあとの時間帯。


 夏希は我が家のリビングでカエルさんソファーに座り、のんびり考え事をしている。


 スズランと真冬はサフィニアでルルと一緒に店番をしている。(たぶん遊んでるよな)


 獣人村に戻って約2週間。我が家とお店が手に入って楽しい生活を送っている。これは村人達がくれたものだと夏希は思う。


(お店も落ち着いた事だし、ここらで何か恩返しを兼ねたイベントがあってもいいと思わないか?そこで覗いてるシルバーよ)


 夏希の視線の先には、開いた窓から顔を突っ込んで「ヒョホー、ヒョホー」とニンジンを催促する鳴き声をしたシルバーが居た。


(さっきから煩くて堪らんのだ)


 夏希は窓際まで行き、アイテムボックスからニンジンを出しシルバーに食べさせながら考え事を続けた。(手を噛むなよ。手をな!)


「なあ、シルバー。夏と言えば夏祭りだよな?お前も金魚すくいしたいだろ?」


 左手でシルバーの頭を鷲掴みし、噛まれた右手を引っこ抜こうと頑張る夏希。


「うんうん、そうか。シルバーも夏祭りがやりたいのか。どこかで毛並みのいい彼女でも探して来てやろうか?夏祭りデートが出来るぞ?でもその鳴き声じゃモテないからなぁ」


 歯形がついた右手を擦りながら、ぐだぐだとロバと会話する夏希。そして噛みつきを満足したシルバーは話を無視して去っていく。


「もう!シルバーったら!」


 何がしたいのか判らない夏希である。


 夏希はキッチンでシルバーのヨダレでベタベタになった手を洗い、ダイニングのテーブルで筆記用具を出して思い付いた事を纏め始めた。(やるからには全力で取り組む。それが全力投球男、夏希なのだ!)


 そして夏希は夕方になるまでシャーペンを握り、大学ノートと向き合っていた。


 そしてその日の夜、シルバーに手紙を配達させて幹部会のメンバー招集をした。場所は共同お風呂場の休憩場。(シルバーは配達が出来るお利口さんなのだ)


「スズラン、真冬、ちょっと出掛けて来るからな。晩御飯は要らない」


「どこに行くのじゃ?面白い所か?」


 スズランが興味を示して聞いてくる。


「いや、幹部会を開くのだ」


「「いってら~」」


 既に興味を失った2人はお風呂に行った。


 夏希は歩いて共同お風呂場に向かう。そしてその後ろからシルバーが付いてくる。(付いてくるなら俺を乗せて行けよ)


 共同お風呂場に着いた夏希は、休憩場で駄弁っている6人の元へ行って、空いている椅子に座って話し始める。


「急に呼び出して悪いな。ちょっと相談したいことがあって集まってもらったんだ」


 夏希はアイテムボックスから、ビールとツマミ、軽い食べ物と飲み物を出してテーブルに並べていく。


「おお、すまんな。こう暑い日は冷たいビールが最高だな。それで相談とはなんだ?」


 ラグはビールを飲みながら話してくる。あとの幹部会メンバーは、マイケル、エリー、ザック、ダン、そして初登場のトムソンだ。

 彼は犬族でお洒落好きカナリアの父親。そして、村で新しく始めた醤油作りの担当者でもある。(まだ時間は掛かりそうだけどね)


「ああ、実は夏祭りをやろうと思ってるんだ。夏祭りと言うのは、いつもやる宴とは違ってな、食べ物や遊びの夜店を出したり、歌や踊りを披露したりするんだ」


 6人は何となくイメージ出来てるような感じではあった。


「それは面白そうだじょ。ワシとエリーは暇してるから手伝いをするじょ」


「私で役に立つなら遠慮なく言ってくださいね。マイケルは使い潰してもいいわよ」


 マイケル夫婦が面白おかしく話す。


「エリー婆さん、ありがとう。色々相談に乗ってもらうから宜しくお願いするよ」


「それで実際に何をするんだい?夏希のことだから、ある程度決めてきたんだろ?」


 熊族のザックが大好物のハチミツをスプーンにすくって舐めながら聞いてくる。


「ああ、決めてきた。夏祭りは2日間行う。1日目は朝から夜までで、2日目は夕方からだ。これなら仕事に支障はあまり無いと思う。ダン、畑の方はどうだ?」


 ネネの夫、寡黙なダンが少し考える。


「そうだな、10日後以降なら大きな収穫は終わってるはずだ。皆も大丈夫だろう」


ダンが話したあとにラグが続けて話す。


「狩の方もお前達が結構な量を持って帰って分けてくれたから問題ないぞ」


(祭りの準備も大変だからな。10日後では間に合わないぞ)


「いや、俺が考えてる事をするなら1ヶ月は掛かりそうなんだ。ダン、悪いがもう一度大丈夫か考えてくれ」


「1ヶ月先なら余計に大丈夫だ」


 即答するダン。


「そうか、それは良かった。じゃあ開催日は準備がある程度出来た段階で決める。それで何をやるかだが、これを見てくれ」


 夏希は大学ノートを開いて見せる。


 ■夏祭り1日目  


 1.楽器演奏(子供達)

 2.ファッションショー3部

  幼少の部、子供の部、大人の部

  ※村人の投票あり

 3.ミニ演劇

  ラグ大魔王VS幼女レンジャー

 4.あとは飲み会と屋台


 ■夏祭り2日目(夕方のみ)


 1.夏祭り1日目の上映会

 2.投票結果発表

 3.あとは飲み会

 4.最後に花火かな


「まあ、こんな感じかな。まだザックリと決めただけだから変更はあると思ってくれ」


 そして何故か手を上げて待っているご老人がいる。その目は子供のように純粋でキラキラしているように感じた。


 夏希は「はいどうぞ」とジェスチャーで、手を上げるマイケルに答える。


「1日目のファッションショーの大人の部が非常に気になるじょ。詳しい説明を求めるのじょ。くわしーくじょ!!」


「ドスッ」


「簡単でいいじょ‥‥‥」


 般若化したエリーに杖でド突かれたマイケルは、曲がった腰をより一段と曲げて小さくなって小さな声で言い直す。


「ははは、今俺が考えてるのは、俺が色々な服を準備して、クジで引いた番号の服を着てもらって舞台を歩いてもらおうかと思ってるんだ。マイケル爺さんが好きそうな服も準備するぞ。どうだ?面白そうだろ?」


 エリーを除く、男連中6人はテーブルに手を重ね合わせ、頷き合っていた。


「それなら男連中にもやってもらおうかね。それが男女平等ってヤツだよ。夏希、いいね?」


 エリーの般若化は継続中であった。


 それから夏希が全ての項目について説明し、村人達をどう分けて準備を進めるかなどを話し合った。


 さあ、これから忙しくなるぞ!



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