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集団転移にあった商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!  作者: 七転び早起き
夏希の腕試し編 ートバルの街ー
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スザンヌとビエラの送別会(4)

 送別会が予想通り10話続くのかと思う夏希。


 ルンバが子供達の為に花火のような魔法を放った。参加者全員が静かにそれを眺める。まるで最終回の一幕を演じるように……

 まだまだ送別会は続くけどね!


 夏希は思う。美味しいバーベキューを食べた。美味しい飲み物も飲んだ。花火?も盛り上がった。


 そう!今がその盛り上りを最高潮にする時だと!


 どうするのかって?ふふ、それはイベントだ!


 まずは第一段だ。


「サラさん、ランブル、ここに来てくれるかな」


 夏希はサラとランブルを皆の前に立たせる。他の皆はこれから何をするのか判っているようで笑顔でサラを見ていた。子供達はウズウズしている。


 夏希はアイテムボックスから、握り手部分に可愛いリボンを付けた大きな編み籠を取り出してサラに渡した。中には女の子用の赤ちゃん服、帽子、靴下、オムツ(布製)、靴が入っている。(3組買ってるよ)


「これはここに居る大人達からのお祝いだ。元気な赤ちゃんを産んで欲しいと願いも込めてる」


 サラは既に泣いていた。ランブルも少しだけ。


 サラは受け取った編み籠を大事そうにランブルに渡し、中のものを手に取って眺めている。


「これ、凄く可愛いです。あっ、服にうさぎさんが描いてある。帽子も靴下もオムツまで…皆、ありがとう。大切にするね」


 サラはランブルに1つずつ広げて見せている。とても嬉しそうに。


「姉ちゃん、これは俺達からだ。俺達が順番に編んで作ったんだ。元気で幸せになるようにってな!夏希兄ちゃんから聞いたんだけど、これはミサンガと言って編み紐が切れたら願い事が叶うんだって。それまではお守りになるんだって」


 子供達がサラに2つ、ランブルに1つ渡す。何種類もの色紐で編んだミサンガは綺麗でオシャレな感じだ。


 サラは子供達を纏めて抱き締め号泣している。これにはランブルも号泣していた。


 子供達はサラとランブルの腕にミサンガを結んであげている。テンドの妹が「元気に産まれてね」とお腹に声を掛けていたのが微笑ましい。


 皆がテーブルに戻ると女性陣はサラの周りに集まって、賑やかに赤ちゃん服の品評会を始めた。(汚れたらいけないからテーブルをもう1台出してあげたよ)


 よし!いい雰囲気だ。では、第二段だな。


「スザンヌさん、ビエラさん、ここに来て」


 2人は「そんなの聞いてないぞ?」な表情だ。


 夏希はアイテムボックスから革製のウエストポーチを取り出した。戦闘時には外すと思うが、念の為に引っ掛かりの少ないシンプルなデザインのものにした。


「これは、ここに居る全員からの贈り物です。子供達は旅の安全を気にしてミサンガも作ると言ってたのですが、戦闘ですぐに切れるから止めました。

 その代わりにウエストポーチの蓋に、鉄槌マークのワッペンを皆で順番に針を通して縫い付けてます。安全を祈りながらね。さあ、受け取ってください」


 スザンヌには黒色のウエストポーチを渡し、ビエラには茶色のウエストポーチを渡した。


「みん……」


「ぐすっ……みんにゃ、ありがとう。私はとても幸せだ。これは私の宝物だ。大切にするね」


 スザンヌが話そうとしたところに寡黙なビエラが割り込んで話し始めた。それも泣きながら。


(おい、またギャップ萌えだよ。可愛いやん)


「ふふ、ビエラに先に言われたな。このポーチは私達[女神の鉄槌]の大切な宝物だ。あー、これは照れるな。まぁ、ありがとな」


 子供達が周りに集まって、どこの部分を自分が縫ったのか説明している。(何か目印でもあるのか?)


 その後はまたしても女性陣が集まり品評会が始まっていた。今度は子供達も一緒に見ている。


「夏希は見に行かんのか?ワレは旨いツマミとビールがあれば1人でも大丈夫なのじゃ」


 ペンギンは気を遣っているようだ。


「俺は皆が楽しそうにしている姿を見ながらビールを飲んでる方がいいかな。ペンギンもそうだろ?」


「……………」


(スズランも楽しんでるみたいだな)


「スズラン、ずっとこんな生活していたいよな。子供達も大人達も一緒になって笑い合って、他の人の幸せや安全を願い合って…… はぁ、気分がいいな」


 夏希とペンギンは静かに酒を酌み交わす。


「それとなペンギンに教えたい事がある。ゆっくりと俺の指が示す方を見てくれ。ゆっくりとな」


 ペンギンは、ゆっくりとその方向を見た。


「 ぶはっ!」


 ペンギン内部のスズランが、食べていた牛タンを吹き出して黄色いクチバシの先端が破れ飛んで行く。


 ペンギンが見たものは、品評会の輪に入れず1人で寂しそうに座っているランブルであった。


 スペアリブの骨を「チューチュー」と吸いながら…


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