6話
「えっと…株式会社?って何?ソフトウェア?」
(しまった、日本の正社員時代の自己紹介をしてしまった、俺が居るのは異世界、町の様子からしても所謂ナーロッパと変わらない、つまりシステムインフラそのものが未知の領域のはず)
「この世界では転生や転移など、そのような事例はあるのでしょうか?また似た様相を持った魔法などは可能なのでしょうか」
「転生?転移?さっきからなんの話?」
「転生、つまり人は死ねば生まれ変わるという仏の教え、思想概念です。
僕はそれとは違うのですが、異世界転移、別の世界から来た人間です」
「あなた神秘主義者か何か?確かに理解出来ない現象というのであれば魔法はその代表みたいな所はあるけれど転移や転生なんて事象は聞いたことがないわ、それに転移してきたですって?嘘をつくならもっとましな嘘をつきなさい」
「そんな、信じてくださいよ」
「さっき出会ったばかりの人間の話を信じられる分けないでしょ」
「おっしゃる通りです。ですが、私の話を信じてもらわないと現状が何も解決しません」
グラスの縁の水滴が机の上に滴り落ちる
「わかった、聞くだけならいいわよ」
「ありがとうございます、まずは、僕は日本という国で暮らしていました」
そこから今まで起きた出来事、地球では魔法はおとぎ話でしかあり無しえない出来事であること、発展した社会では人間の言動は全て技術が支援していて、社会は情報に溢れているということ。
会社の帰りでトラックに轢かれたこと、そのあと謎の空間で神を名乗る老人と出会ったこと、その老人から勇者というスキルを授かったこと、大方の説明を終えた
「随分と肥大な妄想ね、それが本当だとしてあなたは今起こっている現状の説明がつくの?」
「おそらく神のイタズラだと考えてはいますが、根拠はありません。
私自身、おかれた状況についても理解できてないので、まずはこの世界の有り様についてお伺いしたいと…」
「電擊信号で動く物を作るなんて芸当、この世界の文明レベルでは無理でしょうね。
話自体は口頭無形だし、神だか転移だか色々とぶっとんでるけれども、困ってるのはお互い様よね。いいわ
一先ずこの世界の有り様とやらについて教えてあげる」