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序章 冷たい者達



 とあるところに、新しくできて間もない国がありました。

 その国には、たくさんの王族達がいます。


 豊かな暮らしを送る王族達が住んでいるのは、国で一番大きな王宮です。

 その建物の中には、高貴な血筋の者達が大勢います。


 そんな王宮の中には、何人もの王女や王子が生活していましたが、その中に一人不出来な王女がいました。


 たくさんの兄弟・姉妹たちがいましたが、その王女一人だけが不出来だったのです。


『あんたは本当は王女なんかじゃないんだわ。きっとどこからか紛れ込んだ卑しい平民の子に違いないわね!』

『お前なんかが、俺達と同じ王族であるわけない。我が物顔で王宮を歩くな!』


 不出来な王女は、何事もうまくこなせない鈍くさい少女でした。びくびくとしているために、愛想もよくありません。

 そんな王女を、他の者達が虐めるのはある意味自然な流れだったのでしょう。


 けれど普通なら、良心が咎めるか外聞を気にするかして、その行いを制止する者がいてもおかしくありませんでした。

 しかし、時期が悪かったのです。


『この間○○王子が殺されそうになったらしいわよ』

『まあ、恐ろしい。犯人は一体だれなのかしらね』

『きっとあの不出来な王女よ。根暗そうな顔してて、何を考えているんだか分からないじゃない?』


 王女に対する視線が厳しくなっていた頃に、王族の一人が毒殺されそうになったため、怪しい犯人をなんとしても捜しだそうという空気が満ちていました。

 そこで、不出来な王女がターゲットに選ばれてしまったのです。


 おそらくは、証拠がなくても良いのです。

 彼等はただ、自分の気に食わない者を、指さして安心していたかったのでしょう。

 要らない人間を虐めて、優越感に浸り、ストレスを発散したかったのでしょう。


 王女に優しくする人間はいませんでした。



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