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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

《文学の探求シリーズ一覧》

貯金箱の彼女

作者: 賀茂川家鴨

思考実験

「俺と付き合ってほしい」


 男は女に告白した。

 すると、彼女はこう要った。


「わたしと結ばれたいなら、わたしの中に貯金して」


 女は自分の臍を指さした。縦にスリットが入っていて、硬貨の投入口になっている。

 男は言われるがまま、彼女に貯金した。

 来る日も来る日も貯金し、女は歩く度にじゃらじゃらと鳴るようになった。


 女はよくモテたため、道行く人が次々と貯金していった。

 バッグや宝石は小銭に換金して貯金される。

 男は他人以上に女に貯金した。


 女は貯金箱が重くて歩けないというので、背負って歩くことにした。

 歩きながら女に貯金を繰り返した。


   *


 彼女に金がぱんぱんに貯まり、約束通り、男は女と結婚することにした。

 挙式の金を用意するため、女は自身の腹を割ろうと言い出した。


 貯金箱の彼女を割ることは、男にとって躊躇われることであった。

 だが、彼女は何の躊躇いもなくハンマーで割った。

 最期に、割れてしまった彼女と口づけを交わす。


 彼女を失った男は嘆き悲しみ、得た貯金で彼女を弔った。

 男は、今度は自分が貯金箱になろうと決心する。

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賀茂川家鴨の小説王国(賀茂川家鴨の個人サイトです)
― 新着の感想 ―
[良い点] あまりにもシュールで、途中までは笑って読んでいたのですが、ラストで切なくなってしまいました。貯金箱って、なろうと思ってなれるものなんですね。
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