2‐2
リリィは寝呆けてるようで、目をごしごししていた。
「まさか………ケイタって、ロリコン?」
ハルカが疑うような目でケイタをみてきた。
「ばかっ!違う!
これには話すと長くなる事情が………」
ケイタはなんとかしようと言い訳を考えた。
しかしそんなこと思いつくはずなかった。
「……ねぇK、その人だれ?あら、もしかして奥さん?まずいとこ見られたわね」
リリィがあくびをしながら言った。これは完全に昼ドラの台詞だ。誤解を招くからやめてほしい。
「……ケイ?」
ハルカが驚いた。
「ばかっリリィっ……あ。」
ケイタははっとしてから、口を押さえた。
「リリィ………まさかあの子があんたの彼女!?!?」
ケイタは必死で抵抗した。
「ばか!そんなわなけないだろ……」
すると、いきなりである。
「こんにちは、あなたもうちのKの妻なのだから、家事からなんからうちのやり方でやってもらうからね」
突然リリィが、そんなことを言い始めた。今度は姑モードだ。しかしどれだけ昼ドラを愛しているのか。
リリィがあまりに変なことをいうものだから、ハルカは戸惑った。
「……ケイタ?
誰なの?一体?」
ハルカが尋ねてきた。
さすがに普通の女の子でないことがわかったらしい。
「実は……話すと長いんだ。」
そうしてハルカにホントのことを打ち明けた。
・・・・・・
「…で、どこまでが本当なの?」
ハルカがきいた。
玄関にあったメロンをぜいたくにも半分にしてスプーンですくって食べていた。玄関に置いていたものだが。
「………全部。うそじゃないよ」
ケイタはバナナを食べていた。もちろん玄関のやつである。
「ホントなんだって!……なぁ、リリィ。」
返事はなかった。
リリィは部屋の端にあるコンポにヘッドホンをつなげて聞いていた。ケイタは席を立ち、リリィの横に立ってコンポの電源を切った。
「あ、ちょっと!
今いい曲だったのにー。
……なんて人たち?
1番の曲なに?」
リリィは笑顔でいった。
「アクアタイムズだよ、
1番は決意の朝に。」
ケイタはそういってため息をついた。
全く、あなたのことを話してるのに。
「……ねぇ、リリィさん。
家には帰らないの?」
メロンを食べおわってからハルカがいった。
「……わからない、多分帰らない。
…いや、帰れない…」
リリィが答えた。
この時リリィはすごく淋しそうな表情をした。
Kがその理由をしるのは少し後になる。
「……わかった。
じゃああたしが服とかは選んであげる」
ハルカがスプーンをおいてからいった。
ケイタは驚いた。
「え?信じるの?」
「信じるも何も、ただ服を選んであげるだけ。
あんたに選ばせたら、この子がロリコンオヤジの犠牲になるからね
でしょ?K?」
ハルカがいった。ハルカまでKといってきた。
それからリリィの方をむいた。
「じゃあ明日買い物行きましょうか!
明日から大学休みだしね。
私にまかせなさーい!」
えらい偉そうな態度だった。
でもリリィは嬉しそうだった。
「ありがとう!」
ひとまずKは安心した。
こうしてリリィの
「普通の人」になる計画が始まった。
・・・・・
この日の朝、Kは一番に起きた。
なぜか床で寝ていた。
ベッドにはリリィ、ソファーにはハルカが寝ていた。
「……なんでハルカまで泊めなきゃいけないんだよ」
Kは大きく息をしてから吐いた。
それからキッチンにむかった。
今日は目玉焼きを3つ作った。
サラダに使うレタスをちぎっていると、リリィがキッチンにやってきた。
リリィは長い金色の髪の毛をかきながらいった。
「…それ、ちぎるだけ?」
「あぁ、このくらいにな」
Kはお手本に一つだけちぎった。
「私がやる。」
リリィはポケットからピンクのバンダナを取り出して頭にまいた。
「うん、任せた。」
Kはリリィにレタスを渡した。
ハルカは一番最後に目覚めた。
寝ぼけながらキッチンを見てみると、そこにはまるで夫婦のような二人がいた。
Kとリリィ。
ハルカはなぜか少しいらっとした。
朝食=目玉焼きを連想します。目玉焼きっていいですよね、パンでもご飯でも合うし(^-^) ……朝目玉焼きを作ってくれる人がいたらなぁ(笑)