1‐5
ケイタは大学にいた。
「……あいつ一人にして大丈夫かな?」
そんなことをいいながらケイタは自販機から吐き出されたキンキンに冷えたコーラを取り出した。
それから近くのベンチでコーラを飲んでいると、誰かがケイタに近づいて来た。
「おはようケイタ!!」
「おぉ、おはよう」
それはケイタのよく知っている人物だった。
「ねぇねぇ、今日ケイタのうちにいっていい?」
「!?!?!?」
ケイタは突然の申し出に、ありえないくらい拒絶のリアクションをした。
「……なによ、変な意味じゃないわよ!
この前の実験のレポート、まだできてないの、だから。」
「いや、それは俺もできてないんだけど……
…うちはちょっとだめなんだよ」
ケイタは焦りながらいった。
「……怪しい。
何があったのか話なさい!」
「いや……あ、ほらっ、うち、ちらかってるしさ!」
ケイタはごまかそうとした。
しかし、ハルカをごまかすことは難しい。
「ぜーったいおかしい!
何かいいなさい!」
ハルカは同じ大学の友達である。
同じ学科で、よく一緒にレポートなんかを書いていた。
しかし今日は……
ケイタはその後必死に言い訳をし、なんとか今日家にくることは防いだ。
しかしハルカは、そんなことで終わる女ではない。
・・・・・・
大学がおわると、ケイタは商店街にいった。
明後日から、忙しかったケイタにも夏休みみたいな連休がくるのだ。
だから食材を買っておこうと思ったのだ。
ケイタは商店街の人達と仲が良い。
特に八百屋の高城さんとはすごく仲が良かった。
だからケイタには、おまけをたくさんくれた。
そのいつもの八百屋にいった。
八百屋をみてみると、いつもあるはずの果物がない。全くなかったのだ。
「高城さん、なんで果物ないの?」
ケイタが尋ねてみた。
高城さんは歌いながらレジで会計をしていた。
かなりご機嫌そうだった。
「いやぁ実はあったんだけどね、うれちゃったんだよー。
なんか真っ黒でカーテンみたいな服来たお嬢ちゃんが、全部かっていってねー」
ニコニコしている高城さんとは対照的に、ケイタは唖然としたリアクションをしていた。
そんなおかしな買い物をする、おかしな服した女……
あいつしかいない。
リリィ!
主人公はゴスロリを悲観的に見ていますが、クロラはゴスロリ結構好きです(笑)