1‐3
「………私、バンプオブチキンってバンドが好きなの。
その人たちの歌に『リリィ』ってあるの。
』
…だから、リリィ!!」
ケイタは呆れていた。
「リリィねぇ………で、本名は?」
「いえないわよ、家出してるのにうかつに人に名前をいえないわ」
リリィと名乗る女は偉そうに言った。
よく見ると、ケイタのパジャマをきていた。
ケイタは頭を抱えた。
「……あのねぇ…」
「ねぇ!
そんなことより、あなたはなんてゆうの?」
ケイタの話を軽く無視して、リリィは尋ねた。
「は?
……山岸ケイタだよ。」
それを聞くと彼女は少し考えはじめた。
それからいった。
「うーん、なんか普通すぎるよねー、
なんか覚えやすい言い方ないかなー………」
「……おまえな…」
ケイタが再びモップをかまえたとき、リリィはいきなり大声で
「あっ!」っといった。
「そうだ!
K!Kにしましょうよ!
バンプオブチキンの歌にもあるし!」
ケイタ、いやKは唖然とした。
こうしてケイタはKになった。
・・・・・・
「……でも、誰もとまっていいだなんていってない!
早くかえってくれ」
Kはやけになっていった。
「あら、そんなこと言えるのも今のうちよ?」
するとリリィはニヤニヤしながらベッドに向かった。
それからベッドにあった銀色のカバンを持ってきた。
「これだけあれば足りる?」
そういってKの前でカバンをあけた。
「!?!?」
Kは驚いた。
そこには野口英夫……いや、もっと偉い福沢諭吉が書いてある札が束になって何枚もあった。
「ざっと500万、どう?」
リリィは相変わらずニマニマしている。
さすがにまじめなKも心が揺らいだ。
それからKは、1分くらい福沢諭吉とにらめっこをした。曲げてもないのにKには諭吉が笑っているようにみえた。
欲と理性の狭間をさまよって、Kは答えを出した。
「………だめだ。受け取れない」
それを聞いて、リリィは激しく驚いていた。
「なんで!?
こうしたらみんな泊めてくれたのに……なんで!?」
「気に入らないからさ、そーいうのが。」
Kはぶっきらぼうにいった。
すると突然、リリィがわめきだした。
「なんでー!!!
じゃあ何すればいい?
なんでもするから!!!」
それは夜のアパートではあまりにも騒がしすぎた。
Kもあわててリリィをとめた。
「まて!
わかったから!黙ってくれ!
…じゃあとまってはいいから。
ただし、金は受け取らない。
あとさわがないでくれ。」
そういうと、リリィは笑った。
「ありがとう!」
それは子供の笑顔だった。対照的に、Kは家計に悩む親の顔。
「……それより、それ俺のパジャマだよ」
Kが突っ込んだ。いくら泊まるとはいえ、こんな生意気な小娘にパジャマを貸したくはない。
「あ、そうか、ごめんなさいね。」
そういうと彼女は、Kの前でいきなり脱ぎはじめたのだ。
真っ白な肌があらわれ、豊かな膨らみが……
と、なる前にKは慌ててリリィをとめた。
「ばっ!ばか!ここで脱ぐな!
せめてかくせ!」
Kが注意した。
するとリリィは不思議そうに尋ねた。
「……え?なんで?」
「え?……」
そしてケイタは気付いた。
この子は常識知らずだということを。
BUMP OF CHICKEN…代表曲:天体観測、カルマ、オンリーロンリーグローリーなど。 個人的には「リリィ」「K」「アルエ」は最強だと思います。特に「リリィ」の歌詞はいい、この歌詞が本中のリリィのイメージに大きく反映してたりします(^-^)