3‐6
リリィは目を覚ました。
ベッドをいると誰もいなかった。
「……K!?」
リリィはあわてて立ち上がった。
ベッドをみると一枚のメモが置いてあった。
一応病院に行ってきます。
帰りが遅くなるかもしれないけど、待っててください。
リリィはひとまず安心した。
この文字は明らかにケイタが書いたものだったからだ。
リリィは起きてからしばらくは1人で掃除をしていた。
ピンポーン
インターフォンがなった。
リリィは玄関に向かい、鍵を開けた。
そこには青い服を着た男がいた。
「こんにちは、砂川急便です。
ここに判子かサインお願いします」
よくわからなかったリリィはひとまずボールペンで
「Lily」とかいた。
宅急便のおじさんは不思議そうな顔をしてどこかへ言った。
差出人 今村純子
リリィは段ボールの中身がすごく気になった。
それからリリィは段ボールを開けることにした。
そこには、一本のビデオと、手紙が入っていた。
リリィは手紙を読んだ。
手紙は純子おばさんからのものだった。
「ケイタへ。
あなたが父親と同じ道を目指した話を聞いたので、このビデオを送ります。
あなたが迷っているとき、苦しんでいるときに、少しでも役に立てば、と思っています。
どんなに苦しくても、父親のことを忘れないでがんばるんだよ。
純子」
「悩んだり、苦しんでいるとき……」
リリィはぼそっといった。
それからリリィはビデオを手にとって、ビデオデッキに入れた。
それから再生ボタンを押した。
ビデオには広大なアフリカの大地が映っていた。
それからある男も映っていた。
そう、Kの父親だった。
リリィはビデオをじっとみていた。
最初の方は、貧しい家庭の人たちと会話をしたり、写真をとったりしていた。
みんな貧しいのに、楽しそうにしていた。
しかし、後の方になるにつれて、笑顔は少なくなっていった。
特に、最後の方は、もうすぐ死ぬであろう少女に、Kの父親は、ただ手を握ることしかできず、ずっと泣いていた。
リリィはその映像にショックを受けた。
こんな現実があることを知らなかったからだ。
知らなかった自分が腹立たしかった。
そして最後にKの父親がでてきた。
そして父親はカメラに向かってこう話していた。
「ケイタ、もしおまえが俺と同じ道を歩むのなら…
少しでも多くの命を救ってくれ!
俺は世界にこの現実を伝えるために写真をとり続ける。
おまえは、俺がそんなことをしないでいいような…素敵な世界をめざすんだ。
頼んだぞ、ケイタ……」
ビデオはここできれた。
リリィはただ黙って、黒い画面をみていた。
「これが……父親の夢…
…Kの、夢?」
リリィはそうつぶやいた。
それから何を思いついたのか、メモに何かを書き始めた。
それから彼女は、家をでた。
戻ってくることはなかった。
・・・・・・
夜八時。
Kは家に帰ってきた。
朝病院に行くと、早速手術が必要といわれ、手術を行い、無理いってなんとか退院させてもらったのだ。
玄関をあけた。
いつもと様子が違った。
リリィが来なかった。
「……リリィ?」
ケイタはリリィを呼んだ。
しかし返事はない。
「……おいリリィ!」
ケイタは焦った。
まさか……
急いで部屋にはいった。
そこには誰もいなかった。
ケイタは辺りを見回した。
すると、机のうえにメモを置いてあるのに気付いた。
メモにはこう書いてあった。
「Kへ。
今までホントにありがとう。
私はそろそろ家出をやめて、一回家に帰ろうと思います。
大丈夫、自殺なんかしないから。
あのね、K。
私、新しい夢を見つけたの。
だから、一度家に帰って、親や兄さんを説得しようと思ってる。
多分ものすごく反対するんだろうな。
でもね、私、その夢にむけてがんばってみようと思うの。
あなたがかなえてくれた夢のときみたいにね。
もし夢が叶ったら、あなたに教えに行くね。
だからね…
待っててね!
じゃあ、さようなら。
追伸、私、あなたのことが好きでした、いや、好きです。
Lily?」
Kはそれを全部読み終えると、ベッドに飛び込んだ。
それから寝転がって辺りを見回した。
服をかけるところに、あの時の黒いカーテンのような服がかかっていた。
「ばかっ!
俺もだよ、リリィ………」
そうつぶやいてから、Kは枕に顔を押しつけた。
部屋の中は、いつかと同じようにラベンダーのかおりでいっぱいだった。
次がラスト