3‐1
ねぇ、覚えてる?
あの最後の夜を。
あの時言おうとして、いえなかった。
私は……
私の
「今」の夢は………
・・・・・・
あれから一週間がたった。
ケイタとハルカは大学の近くのレストランにいた。
「…で、本当なの?
大森製薬の採用断ったのって」
ハルカが水を一口飲んでからいった。
うん、とケイタはうなずいた。
「……わかんないわねぇ〜
知ってるでしょ?
大森製薬って言ったら日本で一番大きな製薬会社よ?
しかもあんたが選ばれた研究室は日本で一番最先端をいってる研究をしてるところよ!
うちの大学から採用されるなんて奇跡なんだから……
……で、あんた一体これからどうするわけ?」
ハルカは呆れたように言った。
「やりたいことをみつけたんだ。」
ケイタはスパゲティを食べながらいった。
それを聞いたハルカは一瞬驚いてフォークを止めたが、ニッコリと笑ってケイタを祝福する。
「…そっか、よかったじゃん」
「うん」
ケイタもわらってみせた。
リリィが住み着いてから10日目のことだった。
・・・・・・
「……あの、山岸ケイタさんですか?」
ハルカと話していると、見知らぬ男がケイタに話し掛けていた。
身なりがかなりしっかりしていて、ネクタイも完璧だった。
「……どなた、ですか?」
ケイタはフォークを置いて、口をふいた。
ハルカも遅れてフォークをおいた。
いかにもエリートというかんじの男は話しだした。
「私は大森製薬の大森茂というものです。
大学の先生から、ここにいると聞いてうかがいました。
失礼ですが、山岸さんと少しお話が……」
「すいません、大森さん。
僕は採用は断りましたし、他の会社にいくことにしました。」
ケイタははっきりといった。
「それに、時間もないんです。
用事があるからあと15分しかありません。」
「それでいいんです、15分だけでもお願いします。」
男は申し訳なさそうにいった。
ケイタは少しいらっとしたが、断る理由もないので仕方なく了解した。
「……じゃあ私、先に帰ってるね」
ハルカが席をたった。
「ごめんな、ハルカ。」
ケイタは申し訳なさそうにいった。
「……で、話はなんですか?」
ケイタが残っていたスパゲティを食べながらいった。
男は申し訳なさそうにいった。
「いや、どうかうちの会社にくることを考えていただけないかと……」
ケイタは少しいらっとした。
「だから、僕は断ったんですよ……」
「そこを考えてほしいんです!
……あなたの採用された研究室は、今訳あって人出が足りないんです。
しかもそんなにやすやすとは採用はできないような、とても優秀な機関なんです。
私たちとしても、あなたを逃す訳にはいかないんですよ。」
男は必死に説得したが、ケイタには何の影響もなかった。
「……すいません、
僕はもう行く気はないですから。」
男はかなり残念そうな顔をした。
「……そうですか」
「…じゃあ、もう帰りますんで…」
「ちょっとまってください!」
男はケイタを引き止めた。
なんだ?しつこいな、とケイタは思った。
「あの…これは私的なお願いなんですが…
この子を見たことはありませんか?」
男は写真を差し出した。
ケイタは目を疑った。
そこにうつっていたのは、髪の毛こそ真っ黒だが、
明らかにリリィだった。
今朝のズムサタの原宿特集で見たんだけど、ロリータ系の中のゴスロリなんだね(ノ><)ノ …ってかロリータもいいけど、やっぱパンクだよね(笑) そんなことより、次回はリリィの正体が明らかに!?