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久しぶりです。すみません。

なんだかんだと話をつめているうちに、旅立ちの日となった。

「姫よ。苦労をかけるがよろしく頼む。あともしあのバカ息子を見かけることがあれば、話をしてみてくれ」

申し訳なさそうに話す国王を見て、気がつかれないようにため息をつくクリスティーナ。

「あまり期待はしないでくださいね」

「うむ」

会話も弾まないまま、クリスティーナは、船へと乗り込んだのだった。


最初の訪問国は、黄国。

クリスティーナの表情は、国が近づいてくるごとに険しいものになる。

(あの軽い感じは変わっていないだろうなぁ)

黄国の第2王子

リオネル王子。金髪碧眼の美男子で、国内はともかく黒国にも聞こえてくる美貌だ。美形ならばすぐにでも婚約者ができそうなものだが、彼の性格に問題があった。やればなんでもそつなくこなすくせに、世継ぎではないからとやろうとしない。また、自分がリスペクトしたものには、勝手にあだ名をつけて社交辞令というもの考えない。軽薄さが先立つのと自分に対する接し方が軽い感じで国王も頭を抱えているとの話だった。

そして、クリスティーナがもっとも苦手とするタイプだ。

彼の態度には裏がある感じがするのだ。思いすごしでなければよいが。

とにかく

(国の代表としての訪問だもの。気合いをいれないと)

「クリスティーナ様ぁ、本当によろしいのですか?」

「よろしくお願いしますわ。これで気が付かないようならば私の伴侶たりえません」

影武者として仕立てたのは、乳兄弟で侍女のティナだ。

クリスティーナのことを誰よりも側で見ている彼女ならば、できるだろうとお願いをした。もちろん彼女も平民ではなく、れっきとした貴族の子女であるからマナーなども完璧だ。

愛称も似ているので、名前を呼ばれたとしても、気がつかないことはないと思われる。だから適任と考えた。

それに、あの王子ならば、以前、会ったときも、自分のことは、ほとんど視野に入っていなかった。その代わりに周りの黄色い歓声をあげる婦女子に愛想をふりまくっていたのだから。

顔だって覚えていないだろう。

船からおり、黄国の使者の出迎えを受ける。

「うわー、久しぶり。元気だったぁ?クリスティーナ。ん?なんか驚いているけど、どうした?」

挨拶それかい!クリスティーナは、ティナの後ろで呆れていた。

黄国の従者も真っ青だ。

仮にも国を代表して迎えに来たんだろう。顔は、良いが馬鹿さ加減は、更にひどくなったようだ。

ティナも、呆気にとられている。それでも、はっと気がついて、「リオネル王子直々のお出迎え、大変ありがとうございます。お忙しい中、私どものために貴重な時間をさいていただき改めて感謝いたしますわ」

ティナは、完璧な挨拶を返した。

「貴重ね全くだよ。本当なら今頃麗しい方々とのお茶会だったんだから。突然くるんだものな」

しかめっ面になるリオネル。やっぱりこいつ馬鹿だと思ったが、目が笑っていないことに気がついた。

(わざとだ。苛つかせようとしている)

「大変申し訳ありません」

ティナは言葉少なに答えた。

「ま、とにかく納得するまでいたらいいよ」

それだけを言うと案内もせずに去って行った。

その後の残った使者の慌てぶりは、こちらから見ても哀れというしかなかった。

部屋に通され、くまなく隠し窓などがないかを確認した後ようやく力を抜いたクリスティーナとティナの二人は話始めた。

「なんですのあの方は!あまりに失礼ではありませんか。こんな人に嫁ぐならば姫様がかわいそうです」

ティナが激怒していた。

「ごめんなさいね。ティナ苦労をかけるわ。あの人昔からあんな感じよ。と、言うか悪くなっているわね。わざと軽薄そうにしているわ」





その夜

暗い廊下を気配なく歩く人物がいた。

クリスティーナだ。






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