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存在感
いるかいないか分からないぐらいにない。
豊かな国の姫だから、けして身なりが粗末ではない。ドレスも最新の流行を取り入れたものだし、ちょっとだけ胸はさみしいが太っているわけでもないし、顔だって美人と評判の王妃にそっくりの顔立ちだ。
ならば、なぜ?
クリスティーナ自身、全く分からない。
自分では、それなりにいるわよとアピールしているのだが、そばにいた人には、必ず驚かれる。
家族にも驚かれる。
さすがに小さい頃からそばにいる乳母や乳兄弟には、驚かれないが。
それもあって、友達も少ない。
ましてや異性なんて。
かつて父が王太子の頃に、一緒に周りの国に訪問したが、存在の希薄さに不気味がられた思い出しかない。
父が言うには、昔と状況が違うこと、結婚すれば、次期国王になること、我が国と関係を深めたい国にはかなり魅力的にうつるだろうと。
自分の感情は二の次になるのは分かっていたが、自分の結婚である。少しぐらいは夢を見たかった。
結婚するなら、自分を好きになってほしい。
しかし、この存在感の無さでは。
悩むクリスティーナだった。
実際、国王になれるにも関わらず自国の貴族たちの反応は鈍い。
貴族の子息たちが躊躇しているのだ。年頃の息子のいる父親たちの中には、野心を持って息子を推すものもいたが、肝心の息子の方がクリスティーナに会っても、見失い(隣にいたのだが)国王にため息をつかれたため(彼は娘の方にあきれたのだが)これ以上、不興をかってはまずいと皆、退いた。
それを聞いた他の貴族が一斉にこの件から引いたのだ。
予想していたこととはいえ、クリスティーナも落ち込んだ。
これから、他の国に行っても婿を見つけてこれるのだろうか。
列国訪問は目前に迫っていた。
次は婿候補でます