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初投稿です。よろしくお願いします。
「王太子が出奔した」
突然、父である国王が、王妃と姫に話をはじめた。
置き手紙があったらしくそれにはこう書かれていた。
「やりたいことあるから、いなくなるわ」
「…」
「それだけですか?」
王妃がこれまで見せたことのない顔をさせて、聞いてきた。
「うむ。これだけだ。あのバカ息子が書いているのは」
王妃が更に質問する。
「拐かされた疑いは?」
「ないな。追伸がある。誘拐じゃないから、探さないでね。だと」
(まだ書いてあることあったじゃない)
姫が心の中でつっこんだところで、国王が姫の方に視線を向けた。
「と、いうことで、クリスティーナよ。婿をとれ」
「は?」
「あのバカ息子を戻しても、また逃げるだろう。ならば、クリスティーナお前が近隣の国か、我が国の誰かを婿取りした方が、国のためになるだろう。だから婿をとれ」
「はいぃぃ?」
クリスティーナは、姫らしからぬ声を出してしまった。
黒国
ここは、気候も温暖で、四方を海に囲まれた資源に恵まれた国である。
この王国には、王子と姫がいた。
跡継ぎはもちろん王子であると誰しもが思っていたし、実際、王太子としての教育もなされていた。
遊学として、周りを囲む国々への留学もなされた。
どうやらその間にあのバカ兄は、やりたいことを見つけてしまったらしい。
で、今回の出奔になった。バカ兄がコツコツと金を貯めていたのは、知っていたが、このためだったのか。
しかし、婿をとれと言われてもきてくれる人いるんだろうか。
クリスティーナは悩む。
なぜなら、自分の希薄な存在感で皆に気がつかれないことが多いから。
姫、かなりブラックです。