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プロローグ

読んでいただきありがとうございます。

ここから三人称視点で書きます。

上音を包む光が消えて、目を開くと同時に上音は周囲を見渡たした。そこは現代に似たどこかの街で人が行き交い賑わっていた。


「此所は?」


上音が周囲を見渡し歩き出そうとしたとき、何故か周りは沢山の人が行き交っているのに、たった一人だけに意識が向く。相手の男は此方に気づいた様でニヤリと口の端を上げ、此方に近付き上音と手が届く位置にまで近付く。上音は、動けずにいた。


「君はさ、神様や女神様に会ったことがあるかい?」


男の突然の声に、え? と俺は声を漏らす。


「みぃーつけた」


たった其れだけの言葉に酷く寒気がした、この場所から逃げたしたいと上音の思いに反して身体は動かず思考のみが働く。


「それじゃあ、記念すべき10人目の殺人といこうかな? ん?」


そんな言葉に上音は、声を出せ! 今すぐ逃げろ! と自身に強く言う。


「10人目の殺人って何ですか?」


(そうじゃないだろ!)


上音は自身にツッコミを心の中でいれる。男は驚いた表情で口を開け固まっていた。


「これより、王戦争を開始します」

「……君さ、もしかしなくても初めてだろ……もういいや」


頭の中に声が響くと同時に場所が街中から何処かの森か林の中に移動していた。男に目を向けると男の纏う空気みたいなものが変わっていた。男から目を離すことができなかった。突如、上音の左腹部に感じる痛み、熱、そして異物感に声にならない痛みが上音を襲う。下に目をやると、腹には西洋風の片手で持てる大きさの剣が刺さっていた。


「い、痛い」


何とか出した声はたったこれだけだった。


「つまんないなー、せっかくの10人目だし、強いのが来るかと思ったんだけどまさか初心者とはなー、さて」


男は右手に上音の腹に刺さった剣と同じものを出す。そのままゆっくりと剣を頭上に構える。


(俺、こんな簡単に負けるのか? 死ぬのか? 嫌だ死にたくない)


上音のそんな思いに関係無く剣が左肩から右腰に斜めに切り裂かれ、ドサッと上音は、地面に倒れる。


「くふ、あははははは最高だ! これだよこの感触が堪らない」


何が良かったのか、男は狂喜する顔でそのまま上音に背を向けて歩き出した。


(痛い、痛すぎて声が出ないさっきの痛みなんか比べ物にならない程ヤバい、呼吸もできない、死にたくないよ、あぁだんだん目が霞んで……来ない? ……何で生きてるんだ?)


直ぐに痛みが引いてきた、上音の思考は、痛みが引いたからなのか頭の中がスッキリし始めていた。


(あーそういえば特典のデメリットに、ちょっと特殊? な不老不死書いてたんだった)


上音がそんな事を考えてるうちに身体がいつの間にか治っていた。


(伊達に毎日、転生を妄想しているんだから重力や相手の体を操作するぐらい)


上音は、男に手を向け


ばく


ぎゅっと手を握る男はそこで体が止まる。

上音は人差し指を立て回す。


かい


男はくるりと此方に向く男の顔は、驚愕に染まっていた。

そのまま手を下に降ろす。


じゅう


その言葉に男は驚愕から一気に恐怖に顔色を変えた男は声を上げようとするも音をたて地面に潰れる。

上音はゆっくり起き上がり男の近くに寄る。男だった者は、潰れもはや人の姿ではなくなっていた。


(嘘だろ、重力がここまでとは)


上音は、気分が一気に悪くなり四つん這いになり胃の中の物を吐き出す。


『勝者、上音統世様』


頭の中に声が響いた。しかし上音は、目の前の人だった者から目を離せなかった。どれくらい見ていただろう気分の悪いなか上音の頭の中には、初めて人を殺したという思いと気持ち悪さが残ていった。


「こんなあっさりと殺せるんだな」


上音は、自身の呟いた言葉がとても怖くなった。

暫くして上音自身の気分も落ち着いてきた。それでも人を殺したという事実から地面に手をつき特典の力を使い地面に深さ10メートル程の穴を掘りそこに男だった物を入れ土を被せ十字架を建て、手を合わせ暫くその場にいた。


そこから離れながら上音は、自身の今後やこの戦争について考えていた。自分はこの後何人も殺し先程の男のように狂ってしまうのではないだろうかという恐怖。何故自分が他の人達と殺し会うような事をしなければいけないのか。この戦争に意味なんかあるのだろうか。しかし悩んでも誰も聞いてくれないし、答えてくれない。最終的になるようにしかならないだろということで考えるのを辞めた。しかし其れでも上音は、あることに気づいた


(お金がない……宿にも行けなければ、飯も食えない)


お金が無いので、上音は仕方なくホームレスをしながら自身の特典の確認をした。

特典のメリットとなる能力。


①ありとあらゆる事象じしょう森羅万象しんらばんしょうを破壊・無効果・有効果・無かったこと・あったことにでき・未来や過去等々を視ることができ、森羅万象等々操作する。

②ありとあらゆる者、物を創造する。

③自身の能力は自分以外の干渉を受け付けない。

自身が女神様にお願いした。デメリットとなる能力。

①肉体の成長が止まり、どんなに体と心をを鍛え強くなろうとしても強くならず衰えもしないつまり不老になる。

②死ぬほどの肉体・精神・魂にダメージを受けても死ぬ事が出来ず。感覚が麻痺することもなくダメージを負った部分は、肉体を消されても約30分で、再生される。

③自身は、何をされようとも絶対に死ぬ事が出来ない。

(さて、特典の能力は、問題なかったし、石や木を使ってのコントロールもできるようになった。そろそろ次の場所に行くかな)

上音は、女神様から貰った機械を手にとってボタンを押す。最初と同じように上音の体の周りに光が包まれ視界が光で閉ざされる。


徐々に視界を包む光が消える。目の前には石や煉瓦で、できた家が多くあり街灯がなく見たことのない文字で何か、書かれており現代とは大きくかけ離れた場所であった。


「初めて異世界らしい場所に来たな」

「貴様、見慣れぬ種族だが何処から来た」


キョロキョロと辺りを見ていると後ろから声をかけられ上音は振り向く、そこには犬がいた。正確には犬の耳と尻尾が付いており人の姿をした男がそこにいた。


(あれ?犬の耳と尻尾が付いてる……あ、耳が動いた)


「聞いているのか? おい、貴様だぞ」

「え? あ、あぁ俺ね、俺は人間で名前は」

「なっ! 人間だと! ふざけるな! 人間はあの王意外いないはずだ!」


上音が人間だと言ったら犬耳を付けた人は物凄い顔と怒鳴り声を上げる。しかし上音には自分意外に人間が一人しかいないことに驚きを隠せなかった。だがこの世界の王は人間しかいないと聞いたとき違和感を感じた。


「あのー王とは誰のことですか?」

「何だと? 貴様、王の仲間ではないのか?」

「王が誰だ知りませんが違います。俺の名前は、上音統世です」


上音の名前を聞いてなのか犬耳と尻尾を付けた人は、何だかホッとしていた。上音は、訳がわからなくなっていた。しかし王に対するその反応にさらに疑問を持った。


「もし、よろしければ王の話を聞かせてもらってもよろしいですか?」

「…付いてこい」


上音は男に付いて行くが案内されたのは、石と煉瓦で作られた家だった。


「入れ」

「お邪魔します」


中に入ると木で作られたタンスやテーブル、椅子があり中はなかなかの広さがあった。案内され木で作られた椅子に座る。俺の正面に犬の顔をした人が座る。


「先ずは自己紹介しよう。俺の名は、ガハナ・フールンだよろしく。」

「よろしくお願いします。ガハナさん」

「まず始めに王は、この世に一人しかいない人間で、ある日突然前の王、あぁ前の王の名はケイス・ヘルカ様だ。ケイス様の住まう城に現れた。我々種族が持っていない不思議な武器と力を持っていてな、誰一人奴に敵わず死んでいった。ケイス様は、その時に死んでな。奴は自身がこの世界の王だと言い始めた。それから奴は、自身に逆らう者は容赦なく殺した。そこから五年たち最早もはや、殆どの連中を除き奴に逆らうのをやめた。あの王になってから王の住む都の民達の生活は変わらずも、他の村に住む民達の生活は、悪くなる一方だ。俺達は奴に逆らうのをやめないレジスタンスをしている。だが漸く準備ができてな二日後に王を殺す」

「でも、その王の持つ武器や力はどうするんですか?」

「問題ない何せ百人の仲間達と攻めるのだからな、あの時は、僅か二十数名だった。だが今回は違う」

「そ、そんなの」


無謀だ。と言おうとするも、ガハナの目を見てしまい上音は言葉に詰まる。


「俺は、かつてケイス様に仕えていたんだがーー」

「ガハナ!」


突然ドアが勢いよく開くとそこには、猫の耳と尻尾の生えた女性の姿があった。


「! 王妃様!」

「ガハナ、二日後にあの王の元に向かうとはどういうことですか」

「しかし、奴は二日後に城から出て此所の近くを単独で動きます。狙うなら今が好機かと」

「そうではありません。ここの民には、子供やお年寄りもいるのですよ。もしも敗走すればここの民達にも危険が及ぶのですよ」

「し、しかし」

「くどいですよガハナ」

「……申し訳ありません」


上音は、王妃様がいたこととその発言に驚き再び何も言えなくなってしまった。


「そこのお方、話は他の者に聞きました。何でもあの王と同じく突然光と共に現れたそうですね。もし宜しければ、この民の不安を取り除きたいので後日宜しいでしょうか?」

「あ、はい」

「有り難うございます。では後日改めて。いいですね、ガハナ絶対に戦ってはいけませんよ」


王妃は、そう言うと部屋を出ていった。

ガハナは、王妃に反対されるとは思ってなかった。


「それなら俺一人でも戦ってやる」


上音の目には、ガハナは誰に何と言われようと絶対に俺はやる、そんな目をしていた。


「トウヤ、とりあえず今日はここで寝るといい」


それじゃあな、と言いガハナも外に出ていった。


(どういうことだ? 王戦争に参加しているなら、勝ったら次の町に行ったりするはずだ、なのに何故?)


上音は、王について考えていた。しかし分かる筈もなかった。


「トウヤ、食事を持ってきた」


夜になりガハナが食器に沢山の料理を乗せて再び来た。


「ガハナさん実は、俺がこの世界に来た理由何ですけど」

「トウヤ、それは確かに気になっている。何故トウヤがあの王と同じ様に光と共に現れたのかとか明日、王妃様と一緒に聞く」


その後は、ガハナと共に夕食を食べた。ガハナはまた外に出て行くも俺は部屋から出ず考えて過ごした。


翌日、ガハナと王妃様が共に上音の元に訪れた。


「おはようございます。トウヤ気分は如何ですか?」

「おはようございます。気分は大丈夫です」

「王妃様」

「わかっております」


三人はテーブルに座る。


「トウヤ貴方はあの王と同じく光と共に私達の前に現れた。貴方がたは何者ですか? 人間という種族は今までで、一度も聞いたことがありません。貴方がたの目的は何ですか?」

「そうですね、先ず俺が光と共に現れた。ですがそれはこの機械です」


王妃様の質問に上音は、テーブルの上に女神様から貰った機械を置いた。


「先ず俺は一度死んでいます。そして女神様に出合い、王戦争といわれる戦争に俺の意思と関係無く参加させられました。力はその時に貰いこの機械は同じ王戦争に参加している人達と戦い次の世界に移動する。これはそのための機械です。もしかしたらその王も、王戦争に参加しているかもしれません。だけどその王が此れを持っているか、わかりませんし五年前に来たと言われた事については、俺の方でも考えてみましたがわかりませんでした。次に種族ですが、俺が元いた世界、地球というのですが、其処には沢山の生き物がいて私達は自身を人間と言っています。そして最後の目的についてですが…俺、王戦争に参加したばかりで、目的と言えるものは分からないんです。但し一つ分かっているのは王を決める其れだけです」


上音の答にガハナと王妃様は、ただ静かに座っていた。


「ガハナ、これは私達では、何とも言えませんね」

「そうですね…トウヤ、すまないが今の話を全て信じる事はできん。しかしだ、もしあの王が王戦争とやらに参加してるなら何故他の参加者が来ず他の世界に移動しない」

「そうですね、俺もそこが気になります。五年間も他の参加者が来なかったのは何かしらの理由があるはずですし他の世界に移動しないのは、わかりません」


上音は、そこが気になっていた。


「それは貴方でも分からないと?」

「実は、まだ一人としか戦ってないんですしこの世界が二つ目何です」


王妃様とガハナは少し待っていてくれと言って外に出ていった。それから数時間後に再び入ってきた。


「トウヤ、王妃様や皆と話したんだが…手伝ってはくれないだろうか、トウヤの目的はあの王と戦うことで、我々と争う理由はないはずだ」


ガハナは、王妃様と共に外に出て行き他の人達に簡潔に先程の話をした。そのときの民の反応はさまざまにあった。ある者はスパイと言い、ある者は協力者として迎え入れようと言った。最終的に仲間として迎え入れ怪しい動きをしたら殺す。これに決まっていた。


「そうですね…よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いいたします」

「よろしくなトウヤ」


ガハナ達が怪しげな笑みを浮かべるなか上音は、この世界にいる自分と同じ人で王と名乗る者の事が未だに頭から離れず違和感と疑問ばかりが残っていった。

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