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第五話 第一人類発見

旅立ちの朝は快晴だ。




今日のコーディネートは、1番最初に着た服。

淡い黄緑色のオフショルダーワンピースだ。


膝上くらいの丈の長さに、腰を太い白いレースのリボンで絞れる様になっていて、その下は白い薄手のノースリーブワンピの様なものを着ている。

スカート部分が二段のフリルになっていて、上に着ているワンピのスカートをパニエの様に少し膨らませるようにしている。

裾からレースが少し見えるお洒落仕様だ。



ちなみに、中には短パンを履いている。

元々スカートの下に何か履かないと落ち着かない質なのだ。



これから森の中を歩くのにお洒落を気にすんな!って感じだが、この家には可愛い服しかない。

仕方なくお洒落しているのだ。

決して空気が読めない訳ではない。

可愛い格好好きだから全然オッケーだけどね!



そして、更にその上に例の虫よけ効果があるローブを羽織り、ふくらはぎ中くらいの長さの茶褐色の編み上げブーツを履いた。

置いてある靴の中でも1番歩き方易いものだ。


後はお洒落重視のヒールが高いブーツやサンダルの様な可愛いものしかない。


この家の持ち主は本当に可愛いものが好きなようだ。



私としてはありがたい限りである。



これで食生活が改善されればナー




そして、あの鞄を背負う。



結構荷物を入れているにも関わらず、この鞄はファンタジー仕様なのか、重さを感じない。





なんて事は無い。






ふつーに重い。




安定感は結構あるので、ふらついたり、何処かに当たって痛いとかは無さそうだが、背負って歩き続けるのは大変そうだ。

こまめな休憩が必要そうである。




やっぱ、全部収納に入れていこーかな・・・

いや、後ろから何かあった時背中は守られるよね。

よし、背負って行こう!

これも修行よ・・・。




私は背負う事に決めた。

どうしてもダメなら仕舞えば良い。









ドアを開け、一歩踏み出す。



『今までお世話になりました!』



私は家に向かって頭を下げた。

お世話になった感謝の気持ちを込めて。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







家を出たのは良いが、どっちの方向が正しいのかわからない。


下手すると、森の奥深く入ってしまう可能性があるのだ。




私は考えた。川沿いを進むか。

それとも、あの鳴き声がした方角と逆に進んで行くか。



川の下流には人がいる可能性がある。

しかし、水辺の近くは野生の動物に遭遇する可能性もある。

そもそも、ここの生物が野生動物何て可愛いもので納まるのか。


まだ動物には鳥や兎っぽいのを見かけたくらいだが、初日のあの鳴き声、絶対可愛くないヤバいやつだと言い切る自信がある。






よし、やつとは逆に進もう。






移動してるかも、何て事は考えない。

私は自分の運を信じる事にした。

ダメだった時は・・・その時考えよう・・・。












家を出て、外で初めて一晩を過ごした。


辺りが暗くなってきたあたりには、もしかして迷ったかもと思い、不安な夜を過ごしたが、私は遂に森を抜け、人の手が加えられているであろう道に出る事が出来た。




快適。とは言えないが、均された道が1本続いている。





『やった!ここまで長かった・・・。

う〜ん、良い道だ。人の温もりを感じられますなぁ。

さて、どっちに進もうか。』



私から見て、右か左か。



『こっちにしようかな。』



右の方へ進む事にした。







ここまでは至って順調。

特にトラブルもなく、平和なものだ。



しかし、疲れたなー。



私はここらで休憩を入れる事にした。



道の端にある小さな岩の上に腰掛けた。


水の魔石で木のコップに水を入れて飲む。




そう、私はコップなど、食器類も頂いて来た。

そう、完全な空き巣、、、いや、お引っ越しである。

さすがに家具類は遠慮したが。



そして、この水の魔石、魔力を流すと水が出る魔法の石だが、実は消耗品だったりする。


水を出せるのは、一般的な生活に必要な水、100日ほどしかもたないらしい。

鑑定で見たらそうなっていたのだ。



この世界の一般的な水使用量が良くわからないが、無限に使えるわけではないらしい。







ぼさーっと景色を見てると、何かがこちらに向かって歩いてきた。



大きな毛むくじゃらの牛、いや羊?の様な動物が荷車?荷馬車の様なものを引いている。




様な様な言い過ぎだが、他に言いようがない。




その荷車には金髪の男の人が乗っていた。



ここに来て初めての人類との遭遇である。







『あれっ?君、こんなところで何してるんだい?1人かい?』



『はっ・・・!あのっ、ひとり、でして!森の中をですね!』




急に話かけられ、吃りまくってしまった。




『ははっ、落ち着いて、ゆっくりで良いよ。』



金髪の男性は優しい笑顔をくれました。





イケメンや・・・。





金髪にグリーンの瞳。

身長は180は無さそうだ。

細身の体型だが、痩せすぎと言うわけでは無い。



服装はカーキ色のフード付のジャケットの様なものに、中にはクリーム色のシャツを着ている。

ズボンはチノパンの様なものを履いていて、ベルトで止めるタイプの黒いブーツに裾をインしている。




『あ、ごめんね。急に話かけて。怪しかったよね?

僕はエルヴィス・マーレー、旅の行商人だよ。』



こっちは相棒のエルクだよ。と、言いながら、エルヴィスはエルクの頭を撫でている。



行商人と言なにか商売をする人なんだろうか?




『私はかわし・・・いえ、ユーリ・カワシマです。

あり得ない位の過疎化が進んだ田舎から出てきました。』




私は田舎から来た設定にした。



考えてもみてほしい、事故に巻き込まれてぐちゃぐちゃのミンチになったと思ったら〜目が覚めたら森の中で〜そこから可愛くお洋服を着てサバイバル生活を始めました〜☆

なんて、言えるか。

頭可笑しい人認定である。





『そうなんだね。何処のへ行くところだったの?聞いても良い?』



『決めてません。』



『へ?』




『とりあえず、どっかの街に向かってます。』



『・・・。』




黙っちゃったよ。

これは嘘ではないよ。だって知らないんだもん。






『・・・1番近い街まで2日はかかるよ。

良かったら乗って行く?』




思いもしない提案をされた。



『え!?良いんですか?』





大変ありがたいんですが、自分で言うのもアレですが、私かなり怪しいですよ。




『もー良いから乗りな!君のような女の子を1人こんな所に置いて行けないよ!

この道は明るいうちは比較的安全だけど、夜になると魔物もでるんだよ。』




盗賊もたまにいるんだから、ひとりで歩いちゃダメだよ!と、怒られた。





女の子って歳でもないんだが・・・何歳に見えるんだろう?



それにしてもエルヴィスさん、初対面の私にこんなに親切にしてくれるなんて・・・惚れてまうやろ。

なんつって。






私はエルヴィスさんにここから、二つ先の街、《ルクスヴェルグ》まで乗せて行って貰うことになった。



ルクスヴェルグは大きな街らしく、この地域を納めている領主、つまり貴族様がいるらしい。



街も城壁に守られていて、街の門には常に騎士がいるらしい。





エルヴィスさんには、一つ先の街、《アリッタ》には仕事の関係上どうしても寄らなくてはならないから、ルクスヴェルグにすぐに連れて行けなくてごめんね。と言われた。




エルヴィスさん。どんだけ良い人なの。

何か心配になってきたよ。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






ガタゴトとゆっくり進んで行く。





『ところでエルヴィスさん。私、お金をひとつももってないんですが、作ったものを買いってくれる所なんてありますかね?』




『え?お金持ってないの?』




この歳でお金持ってないなんて、そりゃ驚くよね。



『いゃ〜本当に田舎で、物は物々交換で手に入れてまして。』



『そっか。確かに辺境の村なんかでは、珍しいことじゃないもんね。』





そうなんだ。良かったーこの設定にして!

我ながらよくもまぁ、こんな嘘がペラペラて出るもんだ。





『私、薬とかを作ってるんですけど、それらを売ってお金を稼ごうかと思ってるんです。』




『へー、ユーリちゃん薬師だったんだね。』




そうか、この世界では私みたいなのを薬師って言うんだ。




『あ、はははー実はそうなんですよー』




『良かったら休憩の時にでも、見せて貰えないかな?』




『良いですよ!』




ここまで良くしてもらっているんだ。そのくらい、御安い御用だ。

それにもしかしたら、いくらくらいで売れるか見てもらえるかもしれないし、あわよくば、お金の価値を知れるかもしれない。












◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






エルクに食事をさせたい、と言う事で休憩に入った。




私はカバンの中を見せることにした。




『へー色々あるね、小回復薬に・・・中回復薬もあるんだ!?すごいね!

ふんふん、毒消しに麻痺治し、水の魔石!?火の魔石も!?

これ薬じゃないよね!?』




エルヴィスさんは色々な反応をしながら、私の作ったものを見てくれた。

ちょっと照れる。





『どれも質が良さそうだね。僕が買い取っても良いかな?』



『へ!?』




『あ、だめ?』





いやいやいやいや。




『むしろ良いんですか?』



『全然良いよ。僕は買ったものを別の場所に売るのが仕事なんだ。

買いとった金額より多くして売るけど、そこは了承してね?』







売値は買値の3倍には設定しなくては、利益は取れない。






『それにユーリちゃんはこれからお金がかかるだろうしね。出来るだけ買わせて貰うよ。』




『お金がかかる?』



『うん。ユーリちゃん多分身分証持ってないよね?』




『はい。』






この世界に来てまだ約、52日目なもので、身分どころか存在すら証明できない。





『身分証はね、街に入る時や仕事を受けたり頼んだりする時に必要なものなんだ。

持っていないと街に入る時、お金を取られるし、下手すると街に入れなかったたりするからね。』




『お金とられるのかー。身分証って街で発行できるんですか?』




街に入る時はしかたない、いくら掛かるか知らないが、お金を払わなきゃならないらしい。





『街の住民表を得るのは、ずっとその街に住むつもりがないならオススメはしないよ。

発行に時間がかかるしね。

1番手っ取り早いのはギルドに登録してギルドカードを貰うことだね。』





ギルド!ファンタジー用語が出てきた!




『ギルドはルクスヴェルグにあるよ。冒険者ギルドと商人ギルド。

どちらも登録料と更新料が掛かるから、ギルドに入るならどちらが良いか考えた方が良いよ。』





話によると、冒険者ギルドと商人ギルド、それぞれメリットとデメリットがあるみたいだ。









まず、冒険者ギルドだが、これは皆さんもお馴染み?のギルドだ。

ランクと言うものが存在するらしく、低い順に灰、黒、白、銅、銀、金となっている。

地味な配色だな、と思ったのは秘密だ。




ここに所属している人たちは、ギルドに来た依頼を完了する事で報酬をもらい、生活をする人達らしい。

腕に自信がある、あるいは、すぐにでもお金が必要な人たちが主、だそうだ。



仕事の内容は、魔物の討伐、護衛、植物や鉱物などの採取や遺跡や魔窟の調査などがある。



命の保証されない業種のため、登録料や更新料は商人ギルドよりもお安めの設定らしい。



登録料は一律だが、更新料はランクごとに異なるらしく、ランクが上に行けば行くほど高くなるらしい。






そして、商人ギルドはその名前の通り商売をする人たちがが登録するギルドだ。



お店や、ギルドへものを売る分には登録してなくても大丈夫らしいが、自分で直接商売をする人は必ず入らなければならないらしい。




こちらにもランクがあり、低い順に青、緑、黄、桃、紫、赤となる。

こちらは冒険者ギルドとは違い、実績や、試験でランクが上がる訳ではなく、自分が払える更新料、つまり金さえ払えれば初っぱなから赤ランクになれるのだ。



生命的な生き死ににはあまり関わらないので、登録料も更新料も冒険者ギルドより高いらしい。





エルヴィスさんには目的地までは5日ほどあるし、どのギルドにするかゆっくり考えた方が良いよ。でも、自分で薬を売り歩くつもつもりなら、商人ギルドに登録しないとね。と、言われた。






『さて、ユーリちゃん。買い取りの方なんだけど、どのくらい売って貰えるのかな?』




『全部良いですよ。』




『ぜ、全部?困らない?』



『大丈夫です。まだありますし、材料さえあればすぐに作れますから!』




まだあるってどこにだろ。と、ブツブツ行ってるのが聞こえたが、ノーコメントで通した。








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