第1章 1話
序盤は日常系です。
4月も中旬に差し掛かるころ、教室にかけられた時計もまた12時20分に差し掛かっていた。
3……2……1……。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
4時間目の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
その音で俺は目を覚ました。
自分の腕を枕代わりにしていたせいで、ピリピリと痺れている。
寝ぼけ眼で机に置いた黒縁眼鏡をかけ教室を見わたす。
クラスのみんなが、先までに使っていた教科書を机にしまい手ぬぐいで包まれた弁当や学校近くのコンビニで買ったであろう菓子パンの入った袋を持ち、待ちに待った昼休みを堪能するために移動を開始していた。
「おーい誠二、起きろー。もう昼だよー。」
後ろの席から背中をつついて呼びかけてきた茶髪の彼女は、『齋藤遊歩 (さいとう ゆうほ)』俺の小学生の頃からの幼馴染だ。
名を体で表したような遊び歩いているような風貌だが、中学校の時に生徒会長をやっていた過去を持つ真面目な女性だ。
「徹夜でゲームしててさ、朝から眠くて眠くて。」
口元に当てた手を呑み込むぐらいの大きな欠伸をした。
「誠二がゲームで徹夜するなんて珍しいな。そりゃあ随分面白いゲームなんだろう、クリアしたら貸してくれよ。」
隣の席から話に混ざってきた五分刈りの彼は、『双海 迅 (ふたみ じん)』彼も遊歩と同じで小学生の頃からの幼馴染だ。
今は野球部に所属している。
子供の時から身体が大きかったのが理由で、ポジションは常にキャッチャーをしている。
とても明るく元気な性格で情に厚く器のでかい漢だ。
齋藤 遊歩 ・ 双海 迅 そして俺 『佐鳥 誠二 (さとりせいじ) 』の幼馴染3人が集まって弁当食べながらいつもどおり何気ない話をして今日も昼休みの時間をだらだらとつぶす。
次の授業始まるまでの約1時間、この時間が俺はたまらなく好きなのだ。