第二十七章 エピローグ
第二十七章 プロローグ
大船碇禎治は困惑していた。多くの金は銀行に有るのだが総て息子の靖之の名義になっている。銀行へは行ったこともない。しかもビザの期限が近づいている。
靖之逮捕のニュースで通訳の女が適当に置いてあった500万円程を持ち去って来なくなった。通訳の女と言っても靖之が探してきた程だから肉感的で良い女だった。40を越えた歳だったが、テニスで鍛えたその身体は見目には20歳代にしか見えない。ベッドでのテクニックは狂おしい程だった。惜しい女だったが仕方がない。持ち逃げされた金も手切れ金をやったと思えば腹もたたない。
しかし手持ちの現金は金庫に残していた1000万円程しかない。やむなく大船碇禎治は日本へと帰る事にした。日本へ帰ればそれこそ逃避するだけの人生が待ちかまえている筈だ。言葉さえ通じるなら何とかなるだろう。
「おい、大船碇の。長い旅行だったな。」
成田で出向かえたのは中沢会の会長、中沢だった。
帰国前に電話でヤスを呼び出し、日本での住みかなど色々と頼んだのが裏目に出たのを大船碇禎治は悟った。今のヤスは俺の身内では無く、中沢の身内となっていたのだ。それを今頃になって気づくとは、大船碇禎治はくちびるを噛んだ。
★ストーリー作者からのお願い★
この小説に出てくる人物、会社名、その他現存社会に類似する名称が有りましても総て、架空のものです。ご了承下さい。
素読していただいた方から、エムパック社3人の取締役がヨーロッパへ逃げたきりになっている。悪をのさばらせるのはいけないと指摘されました。ごもっともです。作者もそう思います。そこで作者は考えました。今回の小説はオーストラリアが舞台でしたが、次作はイギリス版で書きます。その段階で彼等3人を登場させますので、次作「英国版恐竜探索殺人事件」を楽しみにお待ち下さい。