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プロローグ
神々は、人々と契約した。
地神は、繁栄を
水神は、慈愛を
風神は、知性を
火神は、勇気を
それぞれ望みしヒトに与えよう、と。
光神は、創造を
闇神は、破壊を
それぞれ司りし契約の子を、その地に遣わそう、と。
お前たちが我らを裏切らない限り、契約は失われないだろう、と。
六つの聖域に、神々は誓いを立てた。
*
「おめでとうございます、ブランネイジュ公」
周りからの祝福を、しかし彼は心から受ける事ができなかった。
(ああ、なんということだ)
妻との間に授かった、最初で最後の子供は、珠のような男の子であった。
いずれ、この家を継ぐことになる、大切な子供。
母親に似た、色素の薄い肌や髪、そして瞳の色は、「白き雪」を冠するこの家の者として何よりもふさわしいだろう。
しかし。
(なぜこの子なのだ――)
この子供は、神との契約を、その手に宿していた。
C2
それは、契約によって結びついた者達の物語――