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点線

夏の日差しに

生温い風が流れて

部屋の隅を眺めた

嬉しい鼓動と色づいた形は

ひと夏で消える

不知火のように

記憶だけにとどめて

気づいた時には

遠く離れているんだ


古い本の匂いと軋むパイプ椅子

それだけが時間を感じていて

他の生物から時間を奪っている

一言だけの声が

やたら鮮明に散らかっていく

記憶の中も

ゴミ捨て場みたいに

その先へと進む

色がカワルガワル

複雑なパーツの無い

コミニュケーションの戯言

固まるけど歪で

その時の大切さが

世界で一番なのは

間違いないのに


遠くへ出たら

紙一枚も無い薄っぺらさで

何の役にも立たない

大切な思い出

どうしたかなんて

どうでも良くて

どうしかったなんか

どこにも無くて

繋がることが一つの形だと

本気で思ってたんだろう


冬支度と正月くずれ

寒さと明るい声の先に

はしゃぎながら車輪が回る

大きめのヘルメットが

遠くへ離れて行った

シンと鳴る後

車のエンジン音に

それは消えていく

自販機の前でアプリを開き

温かい飲み物を手にして

静かな夕方を歩く


住み着いてしまった白い猫と

戯れついた後

寝床の毛布を確認して

煙草に火をつける

雲が無い日でも

夕方はそれなりに冷えるもので

ここは自然で

明日も自然であり続ける

仕方ない形を

田舎は抱え続けるが

誰にも日常以上に

走れるスタミナは無いらしい


形あるものは

時間と共に砂になる

車道にある壊れた命みたいに

ひたすらに悲しいと呼んでも

返ってくる返答は

自分で作らなきゃいけない

弱虫の命知らずには成りたくはない

あんな形のものに

手を合わせられない

懸命に生きた命の先にこそ

相応しいものであるからだ





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