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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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98/118

5-5

道命としては期待していた。

だから有給を取ってまで帰ってきた。

自分が幼い頃、祖父から妖しさいっぱいの話をさんざん聞かされていたこともあって「そういったこともあるかもしれない」と信じてもいた。

ダメなのかと半分がっかりで半分はそうだろうな、そんなもんだよと思っていた。

まぁ、季節はずれの帰省もできたということで良しとしようと気持ちを切り替えた。


鳫穐としてはそうでもなかった。

せっかくなので試さない手はないと前向きだ。

実験台はもちろん道命だ。


「2(しゃく)を飲めとある」


2勺?

昔の単位か?

さっぱりわからん。

これは検索しなくっちゃだよ。

さっそくスマホで調べてみると1勺は18・039ミリリットル。

その倍だから約36ミリリットル。

なんと、おちょこ1杯分。

拍子抜けするほど少ない。

その程度ならやってみようとおちょこ探しに入った。

しかしこれがなかなか見つからない。

絶対にあるはずだと鳫穐も参加して探すことになった。


道命も鳫穐もアルコールは飲まないこともないがおちょこで飲むってことはしない。

我が家であってもおちょこなんて見たことがあったかといった程度。

探しているとなんとか発見。

台所の戸棚の奥のほうに置かれてあった。

使うことがないから奥のほうに押しやられてあった。

一応はあるんだと妙に関心してしまった2人だった。


たしかあったはずだと鳫穐に(うなが)されて今度は寺で使ってる掃除などの道具を置いてある物置に移動。

あったあったとナタを手にした祖父。

木の枝を切ったりする時に使ってたらしいちょっとサビサビになってるナタを手にまた移動。

寺の裏側はあまり手入れがされてない。

そこまで手が回らないのと山につながってるので放置されてるような状態だ。


紫色の大樹はすぐわかる。

ひときわ大きな樹がデ〜ンとある。

祖父が迷うことなく大樹の前まで進んだ。

手で触れてみて感触を探っているようだ。

ナタでかる〜くトントンと叩いている。

それを道命は黙って見ている。

どれくらいの強さで叩けばいいのかを計ってるみたい。

トントンやってるうちにトロ〜リとものすごくグリーンの蜂蜜みたいなものが出てきた。

道命の記憶にある樹液とはかなり異なるもの。

色が違いすぎる。


鳫穐がおちょこに「死人の樹液」を満たしていく。

「死人の樹液」って名称がよくないね。

記録通りなら遺体を吸い上げて大樹が取り込んでしまったからそういうことになるんだろうが、もうちょっとネーミングに工夫が欲しかった。


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