5-4
「たぶんな、ここらあたりにあると思う。
タイトルとして表紙に『御神木』と書かれてあったはずなんだが···」
探し始める前の祖父の指さすエリアを見てかなり安心した。
これならとさっそく取りかかった。
とにかくタイトルを見つけること。
それなら流れ作業的に早く見つけられる。
よし、やるかと気合を入れて探し始めて12分ほどで発見。
鳫穐が「あった、見つけた」とあっけないほど早く見つかった。
いつ頃に書かれたものか知らないがそうとう古いものだとわかる。
手書きの薄い古文書のようなもの。
昔の日記のようにも見える。
表紙には確かに御神木とある。
中身をパラッと見てみたが達筆すぎて読めない。
だから解読はじいちゃんに任せることにした。
まぁ、コーヒーでも飲みながらということになった。
キッチンに行ってみると母がちょうど戻ってきたところだった。
祖父がいるのを見て「どうしたんですか?」とかなり驚いている。
よほどのことでもなかなか来ることがない寺にいるからだ。
祖父は笑いながら「ちょっとね」と言ってはぐらかしている。
コーヒーを飲むっていってもお湯を沸かすだけ。
インスタントでそのまま飲むことになる。
祖父も孫もブラックが好みなのは血がつながっているからか?
道命はコーヒーを味わいつつ待つしかない。
鳫穐は文字を追うのに大変だ。
むか〜しの文字で非常に読みにくい。
それでもページ数がそれほどあるわけでもないのでコーヒーを飲み終えた時には解読完了していた。
鳫穐はすっかり冷めてしまったコーヒーをゴクゴクと飲むことになった。
「なるほどな。
初めて読んで、初めて知ったわ···」
「それで、なにが書いてあったの?」
「うん、それはな」と説明が始まった。
御神木と呼ばれている大樹はなんの樹だかわからない。
それは書かれてなかった。
このあたりの風習というわけではないんだろうが亡くなった人を火葬ではなくそのまま土葬にしていたとある。
例えば罪人をどこからか連れてきたとか亡くなった人を運んできたのかまでは記載されてない。
とにかく遺体を大樹の根元に埋葬していた。
大樹は遺体を吸収して成長していった。
どれくらいの人数、魂を吸い取ったかわからない大樹はいつしか不思議な力が宿った。
その緑の樹液を飲んだ人間を鬼人化させるというものだ。
過去に試した者がいたらしい。
成功した例は書かれてなかった。
鬼人化するどころか腹痛で苦しんだとだけあった。
「えぇ、そうなのか。
なぁ〜んだ、ぜんぜんか···」




