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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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96/119

5-3

道命は妖のものに対抗するために使ってみようと思っていると祖父に伝えた。

吸血鬼とは言わずに妖のものとぼかしておいた。

妖と言われても特別なことだとは感じてないようだ。

城上寺はもともと妖の寺といったこともあり鳫穐自身も妖というものが存在していると思っている。

鳫穐には身に覚えがないが寺に持ち込まれたりする物から確かにいるだろうと感じてはいる。

吸血鬼という存在には馴染みがないはず。

月読のような特殊な例はあるが江戸時代には表立ってはいなかった。

海外との交流が活発になった明治以降から行動範囲を拡大させていた吸血鬼が侵入してきたと思われる。


「じいちゃん」


「なんだ?」


「その樹液ってやつの詳細はわかるのかい?」


「まったく知らんよ」


今日の陽射しはちょうど良い。

暑くもなく寒くもない。

鳫穐が暮らしているこの家は親戚の家の敷地内に建てられている。

田舎の家でのこともあり土地が広い。

この家は主屋ではなく離れの家になる。

誰も住んでなかった離れに鳫穐夫婦が移り住んでいる。

時間に追われることもなく悠々自適な生活をしている。


「まてよ」と湯飲みをテーブルに戻した鳫穐。

祖母は主屋に行ってる。

向こうの仲の良い女性と買いものに出かけるそうだ。

前からの約束だったらしく「せっかく来たのにねぇ」と言い残して主屋に行ってしまった。


「寺に行けば古い覚え書きがあったはず。

大樹に関して書かれた記録書が保管されてたと思うが···」


「えっ、そうなの?

だとすると倉庫に?」


「かもしれん。

行ってみるか?」


ということで城上寺に戻ることになった。

車で20分ほど。

東京ほどの交通量がないので快適な運転ができる。

そんな環境だと逆にスピードを出さなくなるのは自分だけか?


寺に戻るとまっ先に倉庫に向かった。

倉庫とはいっても建物の中にある使ってない部屋のこと。

祖父も急がなければならない用事もないということだし寺としてもイベントがあるわけでもない。

だから今は静かで自然だらけの寺。


勝手知ったる我が家なので祖父も目的の場所はわかっている。

寺の中には人の気配がなさそうだ。

正面から入って最も奥の部屋を倉庫として使っている。

室内は10畳ほど。

大きな物は別の場所に置かれている。

この室内には主にノートやら覚え書きのような書物が多い。

雑然と積み上げられたりしているので思いのほか大量にある。

道命にはどこから手をつけたらいいのかわからない。

大量の書物の前ですでにうんざりしている自分がいる。




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