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「そうみたいだ。
噂通りだ」
「我々では対応できないか···
わかる者に来てもらうか、どうする?」
「ゆっくりとはしてられない。
仲間が戻ってくるぞ。
残念だが撤収しよう」
簡単に話しただけですぐこの場から離れることにした。
敵を倒して囚人6名を奪い返すことが目的であった。
この建物内にいたカッツエ委員会の眷属どもは倒したが囚人の奪還は不可能だと判断した。
こんなことになってるとは予想もしてなかった。
もたもたしてると他の吸血鬼たちがやってくる。
軍属だったら無事には帰れない。
その覚悟もあって襲撃に踏み切ったんだが囚人の奪還は難しいものだと判明した。
ここにいた眷属どもは皆殺しにしてやったので少しは溜飲が下がった。
あとは逃げるのみ。
この施設はさらってきた人間たちを一時的に冷凍保存する場所。
人間界でいうところの市場のようなものだ。
他の飼育施設に出荷する前に鮮度を保つためと暴れないように冷凍にして運んでいる。
急に出てきた。
しばらく前に建物の中に入っていった眷属たちが慌てて出てきた。
人数は10名きっちりといるので犠牲者は出てない。
激しい物音も聞こえなかったので銃などを使用してない。
手にしている刃物で戦ったんだろう。
月読とちよは道路を挟んだ歩道にいたのだが吸血鬼たちはそれを気にした様子もなく車で立ち去っていった。
ちよが吸血鬼としての気配を消していたのが幸いした。
吸血鬼がいるとわかったら一悶着あったかもしれない。
「やけに慌ててましたね。
中で何があったんだろ?」
ちよの言う通りだ。
あの吸血鬼たちは何者なんだ?
中で何があった?
確かめに行っても大丈夫か?
中を確認するだけなら急げばいいか。
決断は早かった。
ちよとともに小走りで建物内に入っていった。
中はまっ暗。
月読は暗闇でも視認可能な特殊なオーバーグラスを装着。
入口付近には異常は見当たらない。
「おっ」と先に進んでいくと眷属の死体が転がっている。
弱点である太陽光線などで倒してないから遺体はそっくりそのままある。
首の切断と心臓あたりを貫いた遺体が複数。
元スーパーの広い店内はいくつかのエリアに改装されている。
奥の部屋に進んでいくと異様な空間を見ることになった。
大きなカプセルがズラッと並んでいる。
中には人間が入ってる。
「なんだこれは?
人間?
眠ってる?」
月読にもちよにも現時点でこれがいったい何かはわかってない。
人間の血液に関係することだけは確定している。
そういった施設なんだろう。
カッツエ委員会は所属する人員も多いので食糧事情にも厳しいものがある。
無作為に人間を襲ったりすると現代の人間の科学技術や武装などで必ず反撃してくる。
そういった争いを最小限に抑えるためにも自分たちの手で食糧確保をしておかなければならない。
それに野良人間は危険だ。
血が汚れている。
そのため各地に分散して食糧センターを設置してある。




