3-13
「引き上げるって、どういうことです?」
白石が勢い込んで反応した。
天女目は落ちついている。
川上からの次の言葉を待っている。
「あの装備には不具合が見つかった。
使ってると火だるまになるか爆発するか?
全身に電動ワイアーが張り巡らされている。
そのワイアーの不具合らしい」
「それで使うなってことですか?」
「そうだ。
危険すぎる。
再調整のために一度返却する。
そのため人員集めも中止だ」
「それはいつまでになります?」
「わからん。
業者次第ってことになる」
部屋の中には3人しかいない。
盗聴でもされてない限りは外部には漏れない会話。
天女目と白石が座る前に川上が座っている。
ここからは次の言葉が出てくるまで少し間があった。
「すべてが整うまで我々はなにをすればよいのでしょう?」
やっと天女目が口を開いた。
すでに決定してしまったことなのでなにを言っても無駄だと冷めた物言いだ。
「訓練は続けておいてもらいたい。
有事の際には出動してもらうことになる」
本当の話なんだろうかと天女目は少し疑っている。
自分が身を持って装備品すべてを試したところ問題はなかった。
そこに関しては購入時に念をおして買ったと言ったのは目の前に座る川上幕僚長だ。
それが急に不具合?
おかしな話だ。
そうはいっても天女目たちは技術者でもないわけなので調べようがない。
川上からの連絡、命令といってもいいが15分もかからずに終わった。
白石は疑問を口にせず素直に従うつもりだ。
それが自衛官が従わなければならない上下関係。
天女目には少し考えがある。
それは彼の生まれ育ちが特殊なものがあることに関係している。
自衛官として組織で活動するほうが情報から人的にも充実している。
そしてなによりも機動力もある。
複数ヶ所での対応も同時にできる。
以前から考えていたことがある。
特殊な環境で生まれ育っているのでそれを使わない手はないのではないかと強く思うようになっていた。




