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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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82/118

3-7

しばらく待っていた。

誰も言葉を発しない。

その無言の状態が重苦しい空気を作り出している。

流れが変わったのは先ほど退室したリリー幸田が室内に入ってきてからだ。

1人ではない。

部下の吸血鬼が引き連れてきたのは全裸の男たち。

吸血鬼ではなく人間だ。

それを見ただけで和久井大臣は1歩後ずさった。

選挙前になると人の良さを前面に押し出してアピールしているが実際には野心家でありながら自己保身に走りがちな人物。


「この人間はなんの断りもなく我々の大切な施設に土足で入ってきた。

自衛隊の生き残りだ」


リリー幸田の感情のない声での説明。

そんなリリー幸田のことをよく知ってるのは天童副隊長だ。

右腕としてともに活動しているので本質的なことはよく知っている。

表向きは平静を装っているがかなり興奮していることを知っている。

人であった時はハードゲイの変態だった。

それが眷属になり、さらに血液融合剤で進化した存在になったと同時に頭のネジが外れてしまった。

暴力と変態性の暴走に拍車がかかってしまうことになった。


こういったことは人間から眷属に変化した時によくある。

例えばちよだ。

人であった時はおとなしい子供だった。

眷属になってからはガラッと変わって好戦的になった。

本来はそういった「素質」があったのだと思われる。

眷属になって変わったのは体だけではなく心の変化も同時にあったということだ。

眠っていた闘争本能が解放されたということなのだろう。

逆に時雨のように平穏を望む力のほうが強くなってしまう例もある。

こういったことが「エドガーとラグルシュタインの共同グループ」「黄河の宮廷」「カッツエ委員会」へと分かれていく要因のひとつでもある。


3人の中の1人の全裸の自衛隊員が治療寝台の上に力ずくで押さえ込まれた。

頭側と足側に2人の眷属しかいないのに自衛隊員は身動きできなくなっている。

どういうわけか背中側が上向きにさせられている。

人間たちは、なんだ、なにをするつもりだと固唾をのんで見守るしかなかった。


「罪を犯した者には相応の罰を与えるべきです」


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