3-4
自衛隊員たちが次々と引き上げていく様子を見ていた月読とちよ。
誰もいなかったのかと納得。
危険を犯して自分たちで調べなくて良かったとこれでいくつかある候補地のひとつが消えた。
まったく同時刻、埼玉県さいたま市岩槻。
最寄りの駅としては東武アンバークライン岩槻駅。
その駅の北方向で元荒川沿いにある元運送会社の大型倉庫。
民間の運送会社の物流倉庫だったのをカッツェ委員会が大金を払って無理やり買い取った。
相場以上の金額を一括払いということを提示すると売買契約に応じた。
周辺には畑がありポツンポツンと民家があるだけの静かな場所。
運送会社という建前はそのままにしてあるので大型トラックの出入りにも違和感はない。
秘密工場としてはうってつけの場所。
ガンズ・C・ウィッカー少佐、天童華鈴中尉、リリー幸田少尉をはじめとする第6SSの幹部がそろっている。
倉庫内は大きく改装してある。
幹部たちが集まっているのは会議室。
ここで報告を受けたり作戦立案を行ったりしている。
いま目の前にいるのは緊急案件として再び呼び出した和久井康則防衛大臣。
今回で2回目になる。
そしてその和久井大臣に連れられてきたのが川上将吾陸上幕僚長。
その他には和久井大臣の秘書で森田和人と警察のSPが2名。
和久井大臣と秘書の森田はウィッカー少佐とは何度か会談をしている。
川上幕僚長とSPの2人は吸血鬼と対面するのは初めてだった。
SP2名はわけがわからず同行してきた。
吸血鬼たちに取り押さえられてなんの抵抗もできなかった。
それほど力が強いということを身を持って再認識することになった。
川上は和久井の車に乗せられてここまで連れてこられた。
和久井から内密の話があるということだった。
乗ってと言われたがどこへ連れていかれるかは言われてない。
まさか追っている吸血鬼たちの前に連れてこられるとは夢にも思ってなかった。
「いったいなんでしょうか?
1ヶ月も経たない内にまた呼び出しですか?」
和久井大臣の声には震えがある。
これまではウィッカー少佐とはごく少数での会談を行っていた。
幕僚長まで連れてこいというのは初めてのことだ。
それに吸血鬼側も初めて見る者がいる。
不安になるしかないことが起こったのは間違いない。
「和久井大臣、あなたには多額の政治献金をしている。
なんのためにだ?」




