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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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2-10

「意識はあるのか?」


ベッドに運び込まれた月読をのぞき込んでグレゴール博士が尋ねている。

隣にはポンペイがいる。

不思議そうに眺めている。


「えぇ、口だけは達者ですよ」


「まぁ、そのままで聞いてくれ。

東京には第6SSという軍事チームがある。

そこの隊長であるガンズ・C・ウィッカーという少佐がいる。

この人物なら妹さんがどうしてるのかを知ってると思う。

カッツェ委員会の中でも中枢にいる隊長だからな。

そう簡単には聞き出せないと思うがあたってみる価値はある。

他に手がかりがなければな」


あまりにも昔の話なので自分ではよくわからないとまで言われた。

そうだろうとは思う。

500年以上も前に捕らえられていて現在の状況など知ってる者は少ないはずだ。

このグレゴール博士にしても吸血鬼化したのはまだ60年ほどだという。


「第6SSの隊長ですか···

わかりました、接触してみます。

ありがとうございます」


月読とは今日初めて会って話しもした。

その言葉や立ち振る舞いから本来はいいところの生まれ育ちなんだろうなと評価した。

そして空飛ぶ赤ん坊。

月読が回復するまで話していたんだが驚くほど頭の回転が早い。

総合的にみれば自分よりずっと博識だ。

超能力者でインテリの赤ん坊か。

恐れ入ったと思うしかなかった。

人であった時には優秀な頭を持っていたのだろう。

人であった?

まだ赤ん坊の姿のまま。

それだとすると眷属になったのも赤ん坊の頃になる。

地頭がいいということか。


つぐみには人間であった時の記憶はない。

それどころかどんな時代でどんな環境で、どんな家族がいたのかも知らない。

月読から聞かされた話によると1540年頃、室町時代と呼ばれていた頃の阿波国(あわのくに)、現在の徳島県にいたらしい。

農家の子どもで病気によって死にかけていたところを月読に救われている。

体力がないので眷属への転生は無理だと思われていた。

だがこのままでは数日で亡くなってしまう。

それならイチかバチかで転生させることにした。

99パーセントが死亡するだろうと月読自身も考えていたが何もしなくてもこのままではと決断した。

蓋を開けてみると1時間もしない内に眷属へと転生。

それはいいのだがよくわからない存在となった。

吸血鬼化した副作用というか副産物として様々な超能力を使えるようになっていた。

それと脳の活性化とでもいうべきもの。

元からの資質があったのかもしれないがとにかく頭脳明晰。

今では月読たちの生活を支えてくれるだけではなくすべてにおいて頼りになる存在だ。

残念なのは赤ん坊なので体力がない。

そのため睡眠時間を長く取る必要がある。

最強の吸血鬼でありながら最弱の吸血鬼でもあるという点は月読と同じだ。


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