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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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72/119

2-7

倒れた月読に群がって攻撃していた12号たちがいっせいに空中に向かって引っ張り上げられた。

見えない力によって10メートルほどの高さにまで急速上昇させられた。

そしてそのさらに上空には奇妙ともいえる雲がある。

通常の雲よりは低い位置にあり小さい。

音はなかった。

一瞬の輝き。

放電だ。

本物の積乱雲に比べるとはるかに小さな雲だが中身は負けてない。

作り出された雷雲ではあるがコンパクトに凝縮された放電も1億ボルト以上の電圧がある。

その超電雷撃によって18体すべてはまっ黒こげ。

動かなくなった機械人形たちが路上ボトボト落ちてくる。

そしてカミナリの音が追いついた。

その路上では月読が本当に苦しんでいる。

複数の毒の解毒が追いつかない。


猪狩たちも攻撃するために動こうとしていたが怪しい雲行きになったのでギリギリのところで踏みとどまっている。

そして妙なものを見ることになった。

目を凝らしてよく見ても間違いなかった。

どう見ても赤ん坊にしか見えない。

視力は、おそらく4·0以上はあると思う。

その目で凝視しても赤ん坊が宙に浮いてるとしか映らない。

しかも目が赤いって。


なんだ、ありゃ?

赤ん坊が眷属だって?

そんなバカな。

これまで聞いたこともないし実際に見ることになるなんてもちろん初めてだ。

赤ん坊を含めて幼児なんかは体力的に眷属になることは厳しいとされている。

それをクリアしたというのか?


猪狩は慎重派だ。

迂闊には動けなくなった。

相手が赤ん坊だといっても薄気味悪さがある。

それに路上にいるヤツだって死んじゃいない。

あれだけの毒で死なない?

なんなんだこいつらはと警戒を強くする。


そんな中、引き連れてきた部下の一部が暴走した。

宙に浮かんでいる正体不明の赤ん坊に恐怖を感じたのかもしれない。

所持しているアサルトライフルの発砲。

猪狩には止める間もなかった。


数発の弾丸はまっすぐ飛んでいった。

さらに連射。

しかしそのどれもがつぐみに当たるわけがない。

すべての弾丸は空中で動きを止めている。

その後も撃って撃ってと撃ち続けた。

発射音がうるさいだけですべてが無駄弾になった。

つぐみにとってはまとまった武器が手に入ったことになる。

さぁ、反撃が始まる。

自分が宙に浮いてるのも弾丸を操るのもすべてテレキネシス。

反撃するにしても百発百中。

ありえない弾道をいくらでも勝手に作れる。

だからなんの発射音もしない弾丸をマッハの速さで眷属たちにきっちりとお返しした。

悲鳴を上げるのは眷属たちばかり。


猪狩は意外なものを手にしている。

吹き矢だ。

それも3連装になっている珍しいもの。

ただの矢を撃つわけではない。

たっぷりと塗り上げた毒つきのもの。

猪狩のような毒使いならではの武器。

吸血鬼としての肺活量があれば銃器よりも確実に初速から速い。

しかも音もなく殺れる。

どちらかといえば密かに暗殺といったことに有利な武器になる。

人間や他の吸血鬼に対しては有効な武器になるだろうがつぐみが相手ではかすりもさせられない。

すべての矢が空中で止められてしまった。

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