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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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62/73

1-6

「おい、無断で入ってきて勝手に覗いてんじゃねぇよ」


怒号が響いた。

腹の底まで響いてくる低音だ。

さっきまで誰もいなかったはずの空間に得体の知れない大男がいる。

隊員たちはいっせいに銃口を向けた。

アメリカなどの軍人のように後先考えずにやたらと発砲といったことはしない。

これが日本の自衛隊だ。

だが今回はそれが裏目にでた。


なんだ?

なにが起こった?

隊員たちがバタバタと倒れていく。

あいつかと荒木は倒れてしまった隊員より突然現れた吸血鬼らしき男に視線を外さない。

いない。

今いた場所にいない。

暗視眼鏡の最大の欠点は視野が狭くなること。

そのため接近戦などになると非常に不利になってしまう。


たった1人、しかも巨漢を見つけられない?

探してる間に仲間が1人、2人と倒れていってる。

わけもわからずに仲間が倒れていってるのは恐怖でしかない。


荒木は倒れている隊員たちに視線を移した。

荒木の目が(とら)えたもの。

床に倒れている隊員の体の配置がおかしい。

よく目を凝らしてみると腕や足、首が取れてたり胴体が切断されて転がっている。

なんの物音もしなかった。

隊員たちのくぐもった声が時おり聞こえたようには感じていた。

いったいどういうことだと真実を知る前に荒木の意識も失くなった。

2階に突入した自衛隊13名は音もなく全滅した。


暗闇の中、先ほど怒りの声を発した大男が立っている。

絶命している不法侵入者たちを見渡して満足気である。

撃ちもらしはない。


男はリリー倖田。

軍属で階級は少尉。

人間であった時、およそ10年ほど前は新宿2丁目で働いていたハードゲイ。

身長184センチで体重141キロだが身のこなしは軽い。

眷属になったはいいがマスターが他のグループとの争いで殉職。

早々に独立眷属となってしまった。

さらに2年ほど前にはドクター方円の血液融合剤の実験に志願している。

実験には見事に適合して成功。

クモの能力を手に入れている。

これですべての能力値の底上げがなされ本来なら純血統吸血鬼よりはるかに劣っていた能力が肩を並べるほどに高くなっている。

手足の爪の間から万能に使える糸を出せるようになった。

今回は音もしない糸で自衛隊の体をス〜っと豆腐でも切るかのように切断してやった。

もっともっとじっくりとジワジワと斬ってやりたかったんだけど仕方ない。

人数が多すぎるのと時間がないのとでしぶしぶ断念。

自分の手によって男が斬り刻まれていい顔していい鳴き声を出すのがたまらなくゾクゾクするっていう性癖がある。

芯からの変質者気質を持っている。


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