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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
ハーフムーンの激突

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4-1

4


本当に学者っていうか研究者ってヤツの頭の中はわからない。

自分の仮説をペラペラしゃべって用件も済んでしまったら「では、これで終わりだ」とあっさりしたもんだ。

一応なんだが、俺は敵になる。

なにしろガードマンたちを殺してやったんだから。

それなのにドクター方円には恐怖とか敵意ってもんがまったく希薄だ。

こういった人種って自分の研究なりにしか関心がないのかね?

これで用がないと判断したからなのか自分の研究に集中し始めた。

呆気(あっけ)にとられたのは月読だけではなくアシスタントもだ。

月読は足立のことをアシスタントと思い込んでいるが、つい先日、戸山公園で戦った者同士であることに互いに気づいてなかった。


月読は麻布の街に出た。

曇り空で昼近い。

まだそんな時間だ。

これからでも山梨県忍野村って所まで行けるなって考えながら足を進めていた。

麻布十番駅に向かっていた。

公園があったので突っ切って行くことにした。

そのほうが近道になるんじゃないかと判断したからだ。


時間的にはもう昼時。

この公園、網代公園(あみしろこうえん)はわりと広い。

港区って土地代が高い。

そんな場所にある大きな公園。

これくらいのことは経済的なことには(うと)い月読だってさすがに知っている。


雨が降り始めた。

まだ小雨だが本格的に降り出すかもしれない。

この国の最近の天気はよくわからない。


誰もいないと思ってたんだがそうではなかった。

公園の周りに沿ってベンチが置かれている。

そのベンチにひっそりと女の子が座っている。

雨が降り始めたというのに動こうとする気配がない。

ジッとしていて(うつむ)いている。

そんな子がいると気になるじゃないか。

月読はさりげなく女の子の前を通りすぎた。

女の子からの反応はない。

そのまま駅に向かえばよかったんだが1歩ずつゆっくりとした足取りになった。

ついには立ち止まった。

雨が振ってきてるってのにまったくとクルッと(きびす)を返してベンチまで戻っていった。


「どうした?

雨だぞ」


なんともぶっきらぼうに声をかけた。

女の子はハッとした感じで顔を上げた。

月読はその一瞬で状況判断をしていた。

年齢としてはちよよりは大きい。

小学生の中頃、3年生か4年生くらい。

見える範囲、腕と顔の一部に打撃あと。

そして泣いている。

大まかに事情はわかった。

何度かこれと似たようなのを見たことがある。

いつになっても人間のやることって繰り返されるんだ。


女の子は無言でいる。

見知らぬ男から突然に声をかけられてなんて応えていいのかわからないんだろう。

当たり前だけど警戒もしている。

当然だ。






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