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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
ハーフムーンの激突

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45/81

3-12

「いや、ぼくは知らない。

足立くん、君は知ってるか?」


「知ってますよ。

会ったことっていうか、よ〜く太った頭がまっ白な外国人でした。

研究成果の報告も兼ねて東京に来た時にたまたま見かけたというだけですが···」


「ウィッカー少佐に会いに来てたのか?

研究成果の報告で東京に来た?

ということは普段は東京にはいないってことか···」


「えぇ、グレゴール先生は山梨県の忍野村(おしのむら)って所にアシスタントと一緒にいるようです」


「山梨県?

なんでまたそんな所に?

なにかあるのかな?」


辺鄙(へんぴ)な場所だからこそ研究に没頭できるって話です。

それと富士山が見えて山中湖の静かなところが気に入ってると。

これはシレーヌという純血統に身を寄せていた時に聞かされた話です。

本当のことかどうかは知りませんけど···」


「そういうことらしいぞ」


ドクター方円が月読に顔を向けた。

月読にはよくわからないことがあった。

ドクター方円には敵意や悪意といったものがない。

過去にもこういった研究者との接触はあった。

こういった連中の自分の研究最優先の思考ってものがよくわからない。

月読のような常に戦闘を強いられてきた者とは根本的に考え方が違ってるってことだけは理解している。


「ところで、君は吸血鬼と人間の関係性ってのを考えたことはあるかい?」


いま地上で仲間であるはずの吸血鬼を殺戮(さつりく)したばかりの侵入者が目の前にいるっていうのにドクター方円には怯えた様子は微塵(みじん)もない。

怯えているというか固まってしまっているのは足立と呼ばれたアシスタントのほうだ。

そして唐突な質問の意図がわからない。


「いえ、そんなことは···」


ないですとは続けなかった。

純血統で生まれながらの吸血鬼であるためか、また特殊な環境で育ったこともあって学校などには通ったことがない。

エドガーとラグルシュタインの共同グループや黄河の宮廷といった吸血鬼グループには教育機関としての独自の学校教育がある。

カッツェ委員会にしても教育制度を設けていて社会性を学んだり数学や歴史などを学んでいる。

月読の場合はどこのグループにも所属したことがないのですべてが独学だ。

家族とも生き別れているので吸血鬼というよりも人間たちから教えを()うたことのほうが多かった。

各地を転々としていたため言語に関しては最も(ひい)でている。


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