3-9
その腕の変化にギョっとしたのは眷属の3人。
人ではないとわかっていた。
その目がゴールドに輝いていたからだ。
純血統であれば自分たちよりはるかに強いだろうが畳み掛ける銃弾の前ではどうだろうか?
案外あっさりと殺せたりするかもしなれないと高を括っていたというのも確かにあった。
相手が吸血鬼だと楽だ。
弱点である紫外線を体のどこかに当てるだけで勝負がついてしまう。
なるべく全身にというのが理想だが、例えば足に照射するだけでも素早い動きを封じられるので効果は絶大だ。
月読が動いた。
高速移動で3人の眷属を斬った。
1人は胴体、1人は右肩から入っての袈裟斬り。
あと1人は銅に突き刺して燃え上がって終わった。
サラッと終わってしまった。
これからどこに向かうべきかは亡くなった3人が教えてくれていた。
3人が出てきたドアの向こうだ。
それにしてもと穴が空いて自身の血がついてしまった服装に嘆くしかなかった。
今日は動きやすいようにと下はジャージで上はパーカー。
安物を着てきてよかった。
帰る時はリュックの中の衣類に着替えなきゃなとうんざりしながらドアの前まで進んだ。
ドアの向こうはまっ暗。
物音もなし。
あら、これで終わり?
部屋の外から見える限りは誰もいないし殺風景な室内のように見える。
まず左足。
次の右足が室内の床を踏んだ。
左側からだ。
なにかを振り下ろしてきた。
とっさに左腕で庇う。
痛っ。
痛いのは一瞬だけ。
すぐ再生が始まるので痛みは瞬間的なものになる。
左側に息を殺して潜んでいたのは大柄な黒人男性。
これがシレーヌのもとにいた独立眷属のデンゼルだということは月読が知ってるわけがない。
振り下ろしてきたのは日本刀。
それを左腕で受けて反射的に右手が斬光腕打振に変わる。
即座に男の腹に突き入れている。
腹部から燃え上がって全身に広がる。
消滅してしまうのもすぐだ。
月読は、あぁ、これだとこの国の諺を思い出した。
肉を斬らせて骨を断つだ。
今回はそのまんまになったなと床に落ちている日本刀を手に取った。
へぇ〜って銀色の金属を眺めていた。
月読は日本刀のことはよくわかってないが映画の影響なんかで侍が手にする日本刀には多少の興味があった。
実際に実物を見る機会も少ない。
ドアから入って左側の奥。
壁がズレている。
あぁ、そういうことかと納得した。
ここから地下に行けるようになっている。
そこが本拠地か?
躊躇いなど微塵もなく月読は日本刀を手にして階段を降りていく。
灯りひとつない。
夜目が効く吸血鬼ならこれでいいのか。




