表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
ハーフムーンの激突

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/77

3-7

アレックスは生物学を研究するドクター方円の被験者。

もっと強くなりたいと願い自ら志願して被験者になった。

ドクター方円が研究していたのはさらなる血液の可能性。

人が吸血鬼に変わるためには純血統吸血鬼の血液を介してのみ。

答はまだ出てないのだが眷属という存在になれるのは人間のみ。

この世界には血液を持つ動物が数百万種類はいる。

その中でなぜ人間だけしか眷属にできないのか?

すっと疑問だった。

長い年月をかけて研究しても答が出ない。

仮説ということでなら形になっている。

あくまでも仮説の段階までだ。


長い研究の末に他の動物の能力を取り込むことができる方法を見つけることができた。

血液融合剤というものだ。

ただあまりにもリスクが高い。

高すぎるので被験者が少ない。

当初は重大な違反を犯した者に対しての罰則ということで投与していた。

投与といってもその牙から吸収するだけのこと。

方法はシンプルなんだがリスクは大きい。

あまり多くはないデータからだと成功率は5パーセント前後。

適合しなければ自分の血液と融合剤が反発しあって体が弾け飛ぶことになる。

そんなことは百も承知の上でアレックスは被験者に志願した。

眷属になれて人間でいた時よりもすべての能力値が上がった。

だがどう足掻(あが)いてもそこまでだ。

もっと強くなるためにはリスクがあっても挑戦しなければならない。

生粋の軍人らしい考え方だ。


実際に行ってみた。

といっても融合剤を飲むだけ。

特に不快なこともなく見事に適合者になった。

融合できたのはグレイトハウンドという犬の能力だった。

完全にはまだ取り込めてはいないのでその都度融合剤を飲まなければならない。


異様な姿に変貌(へんぼう)したアレックスが猛然と向かってきた。

速い。

これまでとは動きが違う。

もの珍しいから男の変身する姿を黙って見ていた月読は不意を突かれた。

またしても先手を取られた。

これまでとは違う連打を顔などに浴びせられてサッと離れた。

そしてまた死角から襲ってくる。

その繰り返しだ。

戦法を変えてきた。

スピードがあるかゆえの戦い方に変わった。

一方的に翻弄されてるのは月読だ。

並の吸血鬼になら有効な戦い方だとは思うが月読にとってはただうっとおしいだけ。

アレックスにとっては相手が悪すぎたようだ。


月読としては狼男だと思っていたその飛び出た口が右腕を噛んできた。

手首の下のあたりだ。

牙が入れば当たり前だが痛い。

アレックスは知らなかっただろうが腕を噛んでしまったことは大失敗。

噛まれた腕の肘から先が発光。

斬光腕打振をまとまにくらうことになったアレックスは悲鳴を上げることも許されなかった。

紫外線入りの光の前では脆くも崩れさっていくしかない。

噛んでしまった口の中に光と紫外線が入り込んで燃え上がって消滅した。

それが吸血鬼の弱点なのだから。

月読の感想としては面白いヤツだったけどたいしたヤツじゃなかったよ、だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ