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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
ハーフムーンの激突

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35/74

3-2

ちよと時雨は他に類をみない吸血鬼。

月読とともにハーフムーン(15日間)の吸血鬼と呼ばれる特異な吸血鬼。

ちよと時雨は吸血期(5日間)→人間期(5日間)→吸血期(5日間)のハーフムーンを周期として繰り返している。

今がちょうど人間期に突入したところだ。

この期間はできる限りひっそりとしていることが賢明だ。


対する月読は上昇期(人間期)5日間→吸血期5日間→減衰期(人間期)5日間の周期の吸血鬼。

月読が吸血鬼としての能力を取り戻した時にはちよと時雨が人間になってしまう。

月読が吸血鬼になる時、その眷属であるちよと時雨は必ず人間へと戻されてしまう。

理由はわからない。

つぐみだけはその影響をいっさい受けない。


午前9時前に月読はマンションを出た。

この時間からなら通学や通勤のピークはすぎている。

中央線の電車に乗って行くつもりだ。

タクシーに乗ってとかは避けている。

これから暴れることになるかもしれない場所で、タクシー運転手にここで変な男を降ろしましたとかって面倒な証言なんかをさせないためだ。

時間はかかるんだが不特定多数の中に紛れ込んでいくほうがあとあと問題となるリスクを減らせるようになる。

数百年の経験から学んだことだ。

どんなに遅くとも1時間とちょっとあれば着いてしまう。

焦りすぎる必要はない。

どうせ陽の下で吸血鬼は外に出てこない。

自由に動き回れる吸血鬼はこの時点なら月読くらいだ。


月読は新宿で地下鉄に乗り換えた。

目的の場所は港区。

都営大江戸線の麻布十番駅で降りた。

地上に出ると紫外線でいっぱいの街。

この駅から南へ徒歩7分ほど。

住宅地の中に唐突にド〜ンとある教会。

新しくもなくそれほど古いようにも見えないが紛れもなく教会。

本当に都会のどまん中なのに奇妙なほど静かだ。

それが不気味でもある。


月読は教会の敷地内に足を踏み入れた。

周辺には監視カメラなんかはなさそうだ。

よりによって吸血鬼が教会に(ひそ)んでるって悪い冗談だろっと苦笑するしかない。

そう思いながら教会の大きなドアの前まで進んだ。

両開きになるタイプのものだ。

そのドアに触れた瞬間に声をかけられた。

その声は背後から。

まったく気づかなかった。


月読が振り返ると1人の男が立っている。

そしてすぐわかった。

生きものではない。

月読だってニュースを見たり人間たちの科学技術の進化などを目にしている。

5メートルほど先にいる。

それは人の形をしているが中身は違う。

機械だ。

ロボットというヤツだろうか?

これほど人にそっくりな機械は初めて見た。

まさかとは思うが、吸血鬼が苦手な昼の間を守らせるために配置しているロボットなのか?


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