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銃を撃つより前に少女が動いていた。
男の喉をナイフでシュっと一閃。
血がピュ〜っとはならなかった。
その代わり青白い炎のようなものが見えたと思ってたら全身が発火して消滅してしまった。
その後に続くもう1人の男にはかる〜くジャンプして両手のナイフでクロスアタック。
これは普通の戦いではない。
相手は吸血鬼。
吸血鬼の弱点のひとつである銀で斬ってしまえば終わり。
斬るのはどこでもいい。
楽なもんだ。
その吸血鬼の腕を斬ってやった。
ポテッと斬られた腕が落ちたと思ってたらこれらも青白い炎に包まれて消えてしまった。
少女にとっては怖ろしいほど物足りなかった。
もっと骨のあるヤツがこないかねぇと階段を降りていった。
1階に降りた時にでっかいネズミが駆けていくのが見えた。
少女は、また夜の街の雑踏の中に入っていった。
ここから大久保にあるマンションまではゆっくりと歩いて帰った。
また吸血鬼が現れないかねと期待してたのにぜんぜん来てくれなかった。
せっかく遊んであげる気マンマンだったのに。
女の子はJR新大久保駅前の信号を渡った。
そこから6分ほど歩けばアジトにしているマンションに到着。
大丈夫、尾けられてはいない。
建物は4階建ての古いマンション。
その1階の3LDKの部屋に入っていった。
1階でなければならなかった理由は、なにかあった時にすぐ外に出られるようにといった配慮のため。
もしかすると襲撃があるかもしれないということに対して備えておかなければならない。
「ただいま」と快活な声で女の子はドアを開けた。
おかえりと返したのは母親かもと思える女性。
「血液パックだけだった。
マガジンとかはやっぱり遅れるって」
リビングに入って女の子は背中のリュックを降ろして中に入ってる輸血用パックを取り出していく。
200ミリリットルのものが4パック。
その中から1パックを手に取った女の子。
「では、さっそく、いただきます」