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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
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124/131

3-3

電車が動き出した。

30分近く待たされた。

安全確認としては早いのか遅いのかはわからない。

とにかく電車は動き出した。

新大久保駅に着いた。

グリム神父は降りていく乗客たちを観察していた。

それらの乗客の中に時雨とちよがいた。

グリム神父が気になったのは、やはり少女の表情。

その視線は例の中年サラリーマンに向けられた。

チラッと見た程度だったがグリム神父は見逃さなかった。

バカにしたような見下したような薄ら笑い。


気になる。

根拠はまったくないが、自分の勘は赤いランプが点滅している。

調べてみる価値はあるだろうとホームに足を着けた。

尾行してみようと思った。

自分の勘を信じるしかない。

違ってたらそれはそれですっきりする。

気になることはひとつずつクリアしていくことが結局は近道になる。


大久保の街は1度だけ来たことがある。

ほとんど通りすぎただけのような状態だったで土地勘などはない。


グリム神父は改札を出た。

気になる少女は改札を出たすぐ前で信号待ちをしている。

もう1人、大人の女がいる。

親子のように見える。

本当の関係性はわからない。

人なのか異形のものなのかもはっきりしてない。


信号が青に変わった。

数十名がいっせいに動き出す。

時雨とちよも信号を渡る。

大久保のマンションに戻ってみるつもりだ。

荷物はそっくりそのまま置いてある。

継続するか解約するかを悩むところ。

治安が良いとはいえない。

だからこそ時雨たちにとっては住みやすい。

少々暴れても周りが気にしないからだ。


外国人が経営する個人商店が立ち並ぶ通りを抜けると住宅地になる。

このあたりまで来ると治安も落ちつくかと思える。

それでも暴力は必ずある。

運が悪いことに今がその時だ。

数人のアジア人がケンカのまっ最中だ。

ここは大久保。

日本人とは限らない。

中国人や韓国人も多い。


時雨とちよは横目でチラッと見てスタスタと進んでいく。

いちいち気にしてられない。

吸血鬼として戦闘経験を積んでいる2人からすると子供の遊び以下にしか見えない。


たまたまだ。

揉めている横を通りすぎる時、ちよがバカにしたように鼻で笑ったような表情を見せた。

どうも、ちよはそうだ。

戦闘意欲が強すぎて3度の吸血より争いごとはウェルカムだ。

それもあって油断してしまうとつい挑発的な態度をとってしまうんだろう。


「こらぁ、待てや、クソがき」




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