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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
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123/131

3-2

ちよが気づいた。

動き出そうとするのを時雨の右手が止めた。

そして左手は中年男の手首をつかんだ。

中年男は突然の時雨の動きにギョっとした顔になった。

ほんの一瞬。

時雨は意識して消していた吸血鬼の能力を解放した。

それはわずか1秒程度だった。

手首から肩にかけての腕を瞬時に凍結。

スーツを着ているので外からはわからない。

へたな動きをすれば肩から先の腕が砕け散ってしまう。

時雨としては「ふざけるな」と激怒したことからの反撃だ。


中年男は自分の体に、いまなにが起こってるのか理解できてない。

スーツに隠れている自分の腕が見えてるわけでもなく痛みがあるわけでもない。

ただ動かしづらくなったなと感じた程度だ。

凍らされたっていう実感はない。

神経もなにもかもが凍結してしまっているからだ。

他の乗客の中に、この痴漢行為から時雨の能力解放まで一連の流れに気づいた者は1人を除いてはいなかった。

その気づいた1人が偶然にも同じ車両に乗り合わせた外国人だった。

教会の人間だがカジュアルな姿でいるグリム神父だった。

ほんの一瞬だけだったがバケモノの反応を感じ取っている。

グリム神父は歴戦のエキスパートである。

ほんの一瞬の違和感でも見逃すことはない。


誰だ?

この車内にいるのはわかっている。

特定はできてない。

ここからは長年の経験から見つけ出すことになる。

勘と運も大きく関係してくる。

吸血鬼は自分で気配を消してしまえるのが厄介なところだ。

たまに昼間出歩く吸血鬼がいる。

その場合は紫外線に触れないように肌をいっさい露出させてない。

実体験では、イスラム教の女性が使用しているニカブやブルカといった全身を見せないようにして太陽の下で活動していた吸血鬼がいた。

ただしそれはヨーロッパでのこと。

この日本ではぼ見かけることはない。

ザッと車内を見たところ、そのような人物はいない。


グリム神父はゆっくりと車内を歩いていく。

この車両から隣の車両へ移動した人物はいない。

そして異形のものの反応があったのは間違いない。

それがほんの一瞬だったとしてもだ。

必ずこの車両内にいる。

どいつだ?


妙な男を見かけた。

スーツを着た中年のサラリーマンだ。

ただ突っ立ってるだけなのに様子がおかしい。

震えているのか?

それとなく観察していく。

顔が汗ばんでいる。

この車両の中はそれほど暑くはない。

持病があるとかで具合が悪くなったか?


他にも気になる人物がいる。

それは子供だ。

たぶん小学生くらいだと思われる女の子だ。

その女の子が中年サラリーマンを見ていた。

グリム神父の目にはその少女が笑っているのを確認できた。

人を(さげす)んだような口元の(ゆが)みが印象的だ。

あのくらいの年齢の少女があんな笑い方するか?

なんだか怪しいねぇ。


グリム神父は自分の記憶を探ってみた。

教会の記録では少年少女の吸血鬼が確かに存在している。

それが眷属などといったまがいものではない生まれながらの吸血鬼だ。

吸血鬼といっても永遠に生きてられるわけではない。

寿命がある。

人間の寿命が80年だとするとその10倍の800年は確実にある。

出生率は低いようなので爆発的に増えることは考えにくい。

ただし眷属という存在は無制限に増えてくるのは非常に厄介だ。

やはり生まれながらの吸血鬼を退治することが吸血鬼殲滅の最大の目標になる。


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