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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
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119/128

2-5

吉根大人は血液融合剤の被験者。

無事に成功してカバの能力を手にしている。

その皮膚は銃火器の攻撃も受けつけないほど硬く、その力は人であった時を1とすれば1,000を超えるほどのパワーを得ることになった。

そして機動力も一般の眷属よりはるかに上回っている。


吉根が屍となった血獣を見おろした時、銃撃音が立て続けに起こった。

吉根には効かない。

黄河の宮廷の応援がやっと到着した。

駆けつけてきて異様な吸血鬼を見つけた。

間違いなく敵対する吸血鬼。

そうなると攻撃するのみということになる。


カッツエ委員会の眷属たちも黙ってない。

渋谷の夜の街が突如として吸血鬼たちの殺し合いの舞台になってしまった。


サイレンの音が聞こえる。

複数の音。

警察もやってきた。

警察官たちが集まってきてもなにもできない。

吸血鬼同志の殺し合いの中に割って入ったとしても殺されるだけ。

それでも警察官たちが次々と集まってくる。

やることといったら通行止めにしたり一般の人たちを近づけないように保護したりといった程度のこと。

吸血鬼たちも続々とやってきてる。

へたに声をかけただけで殺されている警察官もいる。

黄河の宮廷からは純血統吸血鬼までもが参戦してきた。

どちらかが全滅するまでは終われない戦場になってしまった。


時間の経過とともに一般市民には被害が出てないが警察官は戦いに巻き込まれたりして亡くなっていく者も出ている。

国内で表立って吸血鬼たちが大暴れの戦争になるのは初めてのこと。

一般市民はテロによる暴力だと思ってる。

警察としてもまさか吸血鬼たちの戦争が勃発したとは考えてなかった。

というよりも考えられなかった。


この渋谷での大騒動は防衛省でも知るところになった。

武装テロであるなら警察では対応できない。

自衛隊の出動になる可能性が高い。

市ケ谷駐屯地にも情報が入っていた。

テロの鎮圧に対しての出動準備をしておくようにとの通達もあった。

それは道命たちの耳にも飛び込んできた。

白石とどうすると話し合うことになる。

おそらく道命たち怒雷組には声がかからないんじゃないかと思われる。

それなら勝手に出動するまでのことで意見は一致した。


「天女目3佐、どう思います?

吸血鬼が暴れてるのか、それともヤクザなんかの抗争なのか?」


「う〜ん、はっきりしたことが伝わってこない。

最初にクマが出たってことだったよな。

それからいきなり銃の撃ち合いか···

現場のことがいまいちわからんからなんとも言えんが悪いほうに考えよう。

そうなると吸血鬼だ。

内輪揉めでもしてるのか?」


「どうします?

渋谷らしいから近いですよ」


「行ってみるか。

吸血鬼だったら俺たちで殺ってみるか」


そういうことになった。

自衛隊の車を使うと無断行動がバレてしまうので普通に街に出ていってタクシーに乗って行くことにする。

怒雷組の他の組員にはいっさい秘密にしてだ。


警察としては街中での銃撃戦があるためテロであるといった認識は薄い。

一般市民に対しての攻撃がほとんどないということもその根拠になっている。

では、いったい誰がということになる。

暴力団同志の争いだろうと呑気な判断のままでいる。

被害というか人数的にはどんどん増えていってるというのにだ。

警察の指揮をとっている幹部たちにはなにが起こってるのかを知らないのだから無理もないのだが。


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