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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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106/122

6-7

グリム神父の血液の中には「聖なる水」が溶け込んでいる。

ドイツにある人里離れた田舎にある古い教会。

具体的な場所は極秘。

その教会には古くから秘匿されている「聖なる水」がある。

この「聖なる水」は選ばれし者、つまり適合した者に対して悪魔と戦えるだけの力を(さず)けることができるカトリックの切り札。

残念なことに適合率は非常に低い。

100人試して1名出るか出ないかといったほど。

水の威力は強大なもので吸血鬼が相手だとしても互角以上に戦える。


「えっ、えぇっ、グリム神父、こ、こ、これってマズいじゃないですか。

た、た、た、確かめもせずにいきなり···

殺人···」


グリム神父に駆け寄って両手を上下にバタバタ動かしながら大慌てすぎる大木田。

「聖なる水」の聖剣はすでにグリム神父の体内に収まっている。

その大木田に迷惑そうな目を向けるグリム神父。


「落ちつきなさい。

その男をよく調べてみたまえ」


ど〜も大木田の耳には届いてないようだ。

だって、だってとうるさい。


「落ちつきなさい。

まず深く息を吸って···

吐いて、そうそう」


初めてのことだから仕方ないが手間がかかるのはいただけない。

通行人が立ち止まっている。

そんなもの気にしちゃいられないのだが。


「はぁ、はぁ、グリム神父、どうしましょう?

どうしたらいいんですか?」


まだ落ちついてないんだけど、とりあえず指示すれば従ってくれるだろうと思って「その男の口を開けて歯を調べなさい。牙があるのがわかるだろう」と指導する。


「わ、わかりました」と言っておっかないとビクビクしながら遺体の頭の側にしゃがんだ。

歯を覗く前にグリム神父を見上げた。

本当にやらなきゃいけないんですかと訴えているようだ。

グリム神父は無言で頷くだけ。

覚悟を決めても行動に移せないでいる。


辛抱強く待ったグリム神父は、これは無理だなと判断して「これだよ」と遺体の頭側にしゃがみ込んで口を大きく開けた。

大木田はヒイ〜っと声を漏らしたんだが逃げることはしなかった。

その点は合格だ。

これまで普通の生活をしていたわけだが突然にこんな凄惨な現場になってしまえば驚くなというほうが無理だ。


恐怖は確かにある。

その反面、怖いもの見たさという好奇心もある。

大木田は遺体の歯をしっかりと見た。

前歯が少しとんがってるように見える。

犬歯は文字通りイヌの歯というか牙そのものに見える。

さらに眼球まで開いて見せられた。

白目の部分が赤い。

充血してるってわけではなく本当にただ赤い。

黒目までも赤いが周りとは赤の濃さが違う。


「わかりましたか?

これが吸血鬼。

普段は人と同じように装っている。

本来の姿はこのように醜いもの。

見つけしだい殺してあげましょう。

力のない一般の人々を救うのが我々の仕事です。

エーメン」


グリム神父はスマホを取り出した。

教会の処理チームに連絡。

あとは任せておけばうまくやってくれる。

遺体は火葬だろう。

何人かいた野次馬はいなくなった。

警察に通報されても大丈夫だ。

警察上層部や日本政府とは話がついている。

一般警察官には知らされてないだろうから多少の手間がかかるだろうが「上からの絶対命令」がすぐ出ることになっている。


大木田が慣れない状況にまだアワアワしている。

本人にしてみればこんなのは一生慣れるなんてことはないと思っているだろう。

最初はみんなそうだ。

グリム神父はたいして気にしてない。

場数をこなしていればいつの間にか処理担当のエキスパートになってくる。

そういった姿をこれまで何人も見てきた経験がある。



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