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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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105/121

6-6

2人はヤマダ電機があるビルからサンシャインビル、豊島区役所から豊島区立南池袋公園を回って池袋駅に戻ってきた。

異常なし。

夜の散歩ということになった。

大木田としては平和なのが一番だとホッとしている。


池袋駅の西口に移動。

時刻は10時をとっくにすぎている。

吸血鬼にとっては朝だ。

これで反応がなければパトロールは終わり。

つかの間の平和ということになる。


「池袋って東口より西口のほうが治安が悪そうですね。

立教大学があって昼は良さそうなんですけど」


正直にいうと大木田は池袋のような繁華街はあまり好きではない。

もともとは広島県の田舎出身なので繁華街には馴染めないでいる。

繁華街以外の東京の街はなんとも思わないのだが。

人が多いのは苦手だ。


2人は北側の平和通りに足を進めた。

このあたりにくると行き交う人がグッと少なくなる。

飲食店も少なくなってキャバクラや風俗店がチラホラとある。

しばらくは平穏な時間ですごせた。


「グリム神父、どうしました?」


一緒に並んで歩いていたグリム神父がピタッと足を止めている。

あっ、まさかと気づいた大木田も足を止めてグリム神父を凝視した。

いったいどうするんだろとの心配もある。

人が少ないからといってこんな街中でどうするんだろと興味と期待もあった。

グリム神父の行動は思いもよらないものだった。


ターゲットがはっきりわかった。

これまでいろいろ試してみて、だいたい半径30〜50メートル内に入った魔物を見つけ出せることがわかっている。

グリム神父が見ている中年男。

どこにでもいそうな冴えないサラリーマンを装っている。

こんなところでなにをしているのか?

答は決まっている。

獲物を探しているんだ。

犠牲者が出る前に見つけた吸血鬼は必ず始末する。

あとのことなんか考える必要はない。

どんなことになっても事後処理はカトリックとしてうまい具合に処理される。

この国の政府や司法程度は力技でどうにでもなる。

それほどこの国は力のない国に盛り下がっている。

だから世界的には吸血鬼天国などと揶揄(やゆ)されている。


グリム神父は迷うことなくその中年男に接近していった。

大木田に対しての支持も助言もない。

吸血鬼撲滅のことしか頭にないからだ。

歩きながら右手の指をピンと伸ばして目の前で水平にした。

「聖なる水」横スライド斬りを発生させる。

鋭利なブーメラン状の刃物と化した「聖なる水」が中年男に襲いかかる。

逃げる間はない。

中年男、吸血鬼は胴体を切断された。

ついでに両腕も肘のあたりからスパッと斬られている。

臓物がドブドブドブって流れ出て路上に血が広がっていく。

瞬殺。

死ぬ前にひと言を漏らしていた。

「なに?」と。

遺体は消滅することがない。

吸血鬼にとって弱点となる紫外線などによって殺された場合には燃え上がってしまう。

普通に殺されたとかになると遺体はそのままだ。



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