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Blood Times-吸血鬼たちの小夜曲(セレナーデ)  作者: 弁財天睦月
闇夜のその先

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103/120

6-4

200年くらい前の話か。

そんな時から吸血鬼が日本にいたってことか?


「それで、どんなことが書いてあった?

あっ、誰が書いたんだろ?」


「う〜ん、書いたのは住職かな?

わからんが···

それでな、内容だよ」


ここでどうしてもビールが飲みたかったんだろ。

間があいた。

ゴクゴクとビールを飲んでなぜかヒ〜って(うな)ってる。

こういう飲み方もあるんだなと道命はアタリメをガジガジ。


「飲んだ初日に熱が出たそうだ」


道命はガジガジをやめた。

ものすごく気になる発言だ。

「それで?」と続きを(うなが)した。


「その翌日からはなんともなかった。

熱もひいていた。

それどころか体が軽く感じられた。

続けて何回か飲んでると変化があった」


「変化?

どんな?」


道命は思わず身を乗り出す勢いだ。

まったく同じようなことが自分にも起こってるからだ。


「鬼人化したそうだ。

文字通り鬼になったとある。

すさまじい力で妖しのものを倒したと書かれてある。

ただし鬼となるのは一刻ばかりとある」


「一刻?

それって何分くらい?」


「一刻は···

1時間半とか2時間くらいじゃないかな?

効果がきれると力が失われるとある」


「制限時間があるのか···

力が失われて、またすぐ『死人の樹液』を飲めば鬼人化できるのかな?」


「気になるところだな。

それも続きが書いてあった。

連続使用はできない。

熱が出るか腹痛が起こるだけ。

少なくとも1回使ってしまえば次に使えるまで1日はあけないとならないとあった」


う〜ん、1日1回で2時間ほど。

使えるのか使えないのかよくわからない。

実戦がどんな形になるのかわからない。

道命は自衛隊員ではあるが実戦経験はない。

吸血鬼などという未知のバケモノとも当然のことだが戦ったりしたこともない。

実物の吸血鬼を見たこともない。

この「死人の樹液」が使えたとしても本当に吸血鬼という存在に対抗できるのかはわからない。

たったひとつだけわかってることは何もしないよりマシかってこと。

自衛隊員でありながら飼い殺しのような状態になっている。

独りでもやっていけるさ。

仲間の(かたき)もきっちりととらなければならないんだから。


道命は予定より2日も延長して寺に残った。

自衛隊には体調不良を理由に有給休暇を2日分使うことになった。


グリム・スパンク神父は池袋の夜の街に出ている。

帯同しているのは池袋にあるカトリック教会の若い神父。

大木田由嗣(おおきだよしつぐ)で27歳になったばかり。

そして対吸血鬼討伐チームの訓練生でもある。

夜の街に出たのは新人指導の意味合いもある。

2人は並んで東口のサンシャインビルのあるエリアをゆっくりと歩いている。

夜も9時をすぎているが人は多い。


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