四十四章 一難去ってまた一難
*第八幕 あらすじ*
「<悪魔の瞳>って知ってるだろ?」白い雪の中、少年は悪魔じみた笑みを浮かべてそう訊いた。田舎町での療養生活を終え、アカデミアタウンを目指して旅を再開した流衣に、またもや厄介事の予感――!?
※この話中、流血表現と残酷な表現を含みます。注意。
雪がひらひらと舞い降りてくる。
空は曇天で薄暗いのだが、雪の照り返しで実際より明るい。
そんな天気の中、石畳の路面に積もる雪を踏みしめ、流衣は通りを走っていく。
「待て!」
「あっちだぞ、追え!」
その後ろを、柄の悪い男が二人追いかけてくる。怒鳴り声に近い声が背後で聞こえて、流衣は更に懸命に走った。
――ここで問題です。流衣は何故追いかけられているのでしょう? 答えは……。
(僕が知りたいよ!)
泣きたくなる気分で、内心で叫ぶ。
何が悪かったのだろう。チンピラに追い回される理由がさっぱり分からない。
流衣は必死で走りながら、今日の出来事を思い返した。
*
一時間前。
「結局、一週間もかかっちゃったなあ。面倒かけてごめんね、オルクス」
『面倒などと。お役に立てれば幸いです』
雪の積もった地面をサクサクと踏みしめながら街道を歩く流衣の肩で、オウムの姿をした使い魔であるオルクスは誇らしげに胸を張った。
エアリーゼを出た後、オルクスが適当に選んだクレイヴォーレという名の田舎町――清涼な湧水が唯一の観光資源という小さな町だ――の宿屋に居座って流衣は一週間ほど療養していた。
その療養中、流衣一人では自由に動けなかった為に、オルクスには何度も人型に変身して貰うはめに陥り、内心、申し訳なくてたまらなかったのだが、オルクス自身は手助け出来るのは嬉しかったようなので、あまり気にしないようにしようと思う。
流衣の努力の甲斐もあり、一週間で、杖の支えが無くてもなんとか歩けるようにはなった。
とはいえ、膝下まで積もった雪の中を歩き回れる程の体力はまだなく、仕方なく、近くに見えた町の手前まで転移して貰った。
「ありがとう、オルクス」
流衣はオルクスに礼を言い、〈知識のメモ帳〉を腰に提げた鞄から取り出して地図を出して貰う。
「あ、このスル=ヴェリって町は、魔法学校のある町の二つ手前なんだね」
適当に転移して来たにも関わらず、偶然にも二つ手前の町に着いていたらしい。
しかし、この町から魔法学校がある町――アカデミアタウンへの道程が、エアリーゼから東南へ伸びる街道沿いの町の中では、町と町の間の距離が一番離れている。地図を見る限り、山を越えてすぐに村があり、そこから更に奥に行った所にアカデミアタウンがあるらしい。
人気のない街道をぽつぽつと一人で歩きながら、流衣はこれからどうしようかと思案する。
山越えとなると、今から出発しても野宿は確実だろう。
良い野宿ポイントはどの辺だろう。
うーんと考え込み、こんな時こそ旅人支援組織ウィングクロスの出番だろうと思い、駄目元で相談に行ってみることに決めた。
そしてスル=ヴェリ支部のウィングクロスを訪れると、雪の為に客が少ないのか受付嬢は暇そうに頬杖をついていて、流衣が入ってきたのに気付くや慌てて背筋を正した。そんな彼女に、流衣はおずおずと話かける。
「あの、これからアカデミアタウンの方に向かいたいんですが……。この辺は初めてでよく分からなくて。山を越える時に休憩場所に良い所があったら教えてくれませんか?」
「あちらに行かれる旅人の方向けに、山道の手前と途中の二か所に山小屋を設けておりますから、そちらを利用されれば宜しいですよ」
「そんなのあるんですか」
「はい。雪で閉ざされやすい土地柄、雪で道が消えて遭難する方がたまに出て、そんな方の為の避難場所として地元の方が建てたのです。が、山越えする方が休憩場所として使用するようになりまして、今では解放されているんですよ。ただ、小屋で薪を使う場合は使用料を払って下さい。備え付けの木箱に、一束につき銅貨二十枚を入れて頂ければ大丈夫です。あ、でも、自分で集められるのならそれを使用して頂いて構いません」
「分かりました」
流衣は頷いて、心のメモに書きつける。
麓と途中に二ヶ所の休憩場所か。それなら、山の途中で一泊すればいいかな。
「それから、もし金銭的に余裕があるのでしたら、乗合馬車の使用をオススメします」
受付嬢はそう言って、カウンターの引き出しから半紙を取りだす。
「ちょうど町の出口の方に、駅舎があるのです。アカデミアタウン行きの乗合馬車が三日に一度運行しておりまして、ちょうど今日の昼に出発の便がありますから」
そう言って、半紙に書かれた運行予定表を指で示す。
どうぞと差し出された半紙を受け取って読んでみる。片道銀貨一枚で乗れるようだ。これなら払える金額だ。
あまりうろうろ出来る体力も無いし、こちらで行った方が安全だろう。
流衣は即決する。
「僕、これで行ってみます。教えてくれてありがとうございました」
ぺこりと頭を下げて礼を言うと、受付嬢は頬をゆるませて頷く。
「どういたしまして。切符を買われたら、馬車が出発するまで、こちらの食堂で休んでいると良いですよ。温まる飲み物が揃ってますから」
親切に付け足す受付嬢に再度礼を言い、流衣はウィングクロスを後にした。
駅舎は煉瓦造りの小さな家だった。
扉を押して中に入ると、どうやら待合室になっているらしく、入口付近の椅子には何人かの旅人の姿がある。彼らが扉の方をいっせいに見るので、流衣はぎくりとしたものの、扉を閉めて中に入る。一気に視線を浴びると居心地が悪い。
「あのぅ、ここで乗り合い馬車の切符を買えるってウィングクロスで聞いてきたんですが……」
受付の老人に声をかけると、老人は頷いた。
「そうだぞ、坊主。アカデミアタウン行きとエアリーゼ行き、それから王都行きがあるがどれに乗るのかね?」
「アカデミアタウンです」
老人は手元の帳面をパラパラとめくり、頷く。
「ああ、まだ人数に余裕があるな。今日の昼に出発の便でいいか?」
「はい」
「では銀貨一枚になる」
流衣は代金を支払い、切符を受け取る。
「正午出発だ。時間厳守だから、遅刻したら置いていくぞ。十分前にはこの待合室に来るようにしておけ」
老人の注意にはいと返事をし、ひとまずウィングクロスに戻ることにする。この待合室は人が多くて居心地が悪い。
駅舎を出て、ウィングクロスへの道を雪を踏みしめて歩いていく。
サクサクサクサク……
ザクザク、ザクザク……
「…………」
流衣は眉を寄せる。
おかしい。
駅舎を出てから、足音がずっとついてくる。
『坊ちゃん、そのまま速足で歩いてみて下さい』
オルクスの言葉に小さく頷き、試しに速足で歩いてみる。すると、足音も速くなった。これは……。
『やはり、つけられておりますね。振り向かず、そのまま速足でウィングクロスまで行きましょう』
「うん……」
不安を覚えたものの、オルクスの言う通りにする。
流衣に何か用なのだろうか。それなら声をかければいいのに。まだ朝っぱらなのに不審者なのだろうか。
そのまま速足で歩いてみるが、ウィングクロスは流衣が町に入ってきたちょうど入口付近にあるから結構距離がある。
大通りだからこのままウィングクロスに入れば問題無いだろうが、ずっとつけられるのは気持ち悪い。
ハラハラしつつ嫌な汗をかいて歩いていると、急に足音が追いついてきた。と思ったら、逃げ出す暇もなく腕を掴まれて路地裏に引きずり込まれる。
「うわっ!?」
心臓が飛びあがる程驚いて叫ぶが、気付くと路地裏の家の壁に背中を押しつけられていた。幾ら流衣が小柄だからって、ここまであっさりしていると虚しいものがある。
「な、何なんですか!?」
流衣は竦み上がりながらも、めいっぱい抗議する。
つけてきていたのは、二十代程の痩せた男と三十代程の屈強な体躯をした男だった。その屈強な方、右目に眼帯などをしているので恐ろしい風貌の男の右腕で喉元を押さえられているせいで身動きが取れない。
「おう、見ろよカロン。やっぱり間違いねえ」
痩せた方の男が、流衣から取り上げた杖――水の七を見て呟く。
「水シリーズの七番だ。コレクターに高くで売れるぞ。……おいガキ、お前、これをどこで手に入れた?」
痩せた男の問いに、不良に絡まれているというより強盗にあっているのかと考える。どっちでも流衣には大問題だ。
「……普通に魔法道具屋で買ったんです」
カロンという名の男が腕を押しつけて答えるように催促するので、息苦しさに眉を寄せつつ、そう答える。
「ふざけんなよ。名匠ヴェルダの作だ、魔法道具屋に売ってるわけねえだろ」
凄まれたって困る。事実だ。
「本当です! 道具屋の隅で埃かぶってたんです!」
「まあいい。入手方法がどうあれ、お宝なのには間違いねえ」
「そうだなダイナン。――なあ坊主。これ、俺らに売ってくれねえかなあ」
「だだだ駄目です無理です」
流衣はぶんぶんと首を振る。
杖が無くても支障はないが、しっくり馴染む武器だ、手放したいとは思わない。
『坊ちゃん、こんな奴ら、適当に撒いてしまいましょう。いっそのこと吹き飛ばしてしまってはいかがです』
肩のオルクスが物騒な声で物騒なことを言い出す。
「そうかよ、せっかく話し合いで解決しようってのに、短慮なガキだな」
カロンの顔に凄みが増す。
(ひぃぃぃ怖っ)
流衣は顔面蒼白で、内心で悲鳴を上げる。
「――っと、見ろよダイナン。こいつ、どこの国の奴だ? 初めて見る顔だな」
「ん? ほんとだな。こりゃ珍しい。おい、杖を貰ってけばいいと思ったが、そいつも連れてくか。物好きな輩には売れっだろ」
なんか物騒なこと言ってる―――!
流衣はますます血の気が引いた。
もしかして、これがグレッセンの言ってた人買い!?
『もう我慢なりません。吹き飛ばします!』
オルクスが宣言した瞬間、突風が巻き起こりカロンを吹き飛ばした。
「ぐあっ!?」
向かいの家の壁に激突するカロン。
「カロン!」
ダイナンが驚いている隙に杖を取り返し、流衣は路地裏を走りだした。
*
回想終了。
やっぱりどう考えても自分は悪くないと思う。
「まだ追っかけてくるよーっ!」
しかしそれでも現実は変わらないので、必死に走る。ときどき雪で滑りそうになるので冷や汗ものだ。
それに長く走れる程に筋力が回復しているわけではないので、すでに膝はがくがくいっている。何かにつまづいたらこけるのは間違いない。
「僕なんか売ったってお金にならないよっ」
うっ、自分で言って自分で傷ついた。痛い。
『珍しい人種程高くで買う下種な輩もいるのです。坊ちゃんみたいな人間は、勇者を除いてこの世界にはおりませんから、高額間違いなしです』
「嬉しくないって!」
『それに、どこも人的資源は大事です。何をするにしても人手はいりますからね。そういう面でも、安くで人を買ってこき使おうとする人間はいるのです。……本当に滅べばいいと思います。魔物にでも喰われて海の藻屑に成り果てて欲しいものです』
だんだんオルクスの声が低くなっていく。
愛と慈悲の女神ツィールカに仕えているだけあって、悪の代名詞みたいな行為は憎いようだ。
悪を憎むのは構わないけれど、流衣の肩で冷気を放出しまくるのはやめて欲しい。怖いから。
『それに……あまりこういうことは言いたくないのですが』
「うん?」
適当に路地に飛びこみつつ、流衣は問い返す。言い淀むオルクスに、嫌な予感を覚える。
『世の中には色々な趣味を持つ者がおりますから。人をいたぶるのが好きな者とか、男色の者とか……』
「ダンショク?」
なんだろう、それ。初めて聞いた単語だ。
きょとんと聞き返すと、オルクスはうっと声を詰まらせ、渋々説明する。
『……男を好む男ということです』
「同性愛者のこと!? ひーっ、それは勘弁! 僕はノーマルだからっ!!」
同性愛者について批判的でも否定的でもないが、それは自分にベクトルが向かなければ、だ。差別について教育を受けているだけあり、差別感は無い。そういう人もいるんだなあという程度の認識。
『やばいですよ、坊ちゃん。見た目も珍しい、一見すると男にも見えない。やばいです。相当まずいです』
「脅さないでよっ、十分分かったからっ!!」
恐怖のあまりスピードが上がる。
半泣きで路地裏を駆ける。適当に移動しているせいで、今、町のどの辺にいるのかさっぱり分からない。
「って、うわっ。行き止まり!?」
適当に曲がった先は袋小路だった。
流衣は慌てて立ち止まる。
きょろりと周りを見回すと、両側の壁に民家の扉があったが閉め切られている。
『仕方ありません。坊ちゃん、血と魔力を下さい。脱出します故』
「わ、分かった」
流衣は調理用の折り畳みナイフを取り出そうと、貴重品入れの小さな鞄に手を伸ばす。
が、ナイフを掴んだ瞬間、目の前を黒いものがかすめた。それを目で追うと、足元にひらりと落ちた黒い羽根が見えた。雪の中、白紙に落ちた黒インクのように鮮明だ。
反射的に上を見る。その先では、屋根に少年が一人立っていた。流衣と同年代程で、黒髪と金色の目をしていて、白黒で統一された温かそうな服に身を包んでおり、背中には黒い一対の羽を宿している。
流衣は目を丸くする。
まるで日本の妖怪である烏天狗のような、そんな印象の少年だ。静かで物憂げで、それでいてこのまま消えてしまいそうな危うげな雰囲気。妙に現実感のない少年である。
「――人買いか。嫌いだな」
少年はぽつりと呟いた。
そして困惑している流衣をちらりと金色の目で見やる。
「そこでじっとしてなよ」
「……え?」
流衣が目を瞬いた瞬間、少年は両手を袖に突っ込んだ。そして袖から引き抜くと、まるで手品のようにスローイングナイフが指の間に出現する。
チンピラ達が角を曲がってきた瞬間、少年は腕を軽く振った。
するとスローイングナイフが吸いこまれるようにチンピラ達の喉に突き刺さった。彼らは声を発する余裕もなく白目を剥いて倒れる。雪が血で赤く染まった。
「………っ」
流衣は膝から力が抜け、その場にぺたりと尻餅をつく。
「……なっ……嘘だろ、そんな……っ」
死体と成り果てた男達を、呆然と見つめる。寒さからではない震えに襲われた。
「同情してるの? お前を追いかけてた、人買いなんてクズどもじゃないか」
感慨を含まない淡々とした声で、少し不思議そうに問う少年。
いつの間にか隣に立っていた少年を、流衣は声もなく見上げる。
何の躊躇いもなく、まるで人形を棄てるみたいにあっさりと命を奪った少年。流衣は逃げられれば良かっただけで、彼らに危害を加えるつもりはなかった。
「だからって……殺すことないじゃないか!」
思わず叫んでしまってから、ハッと口を手で覆う。
一応、この少年は助けてくれた恩人だ。例え望まない結果だったとはいえ、怒るのは間違っているような気がする。
自身の中の正しいことと恩人であることの間で葛藤しながら、それでもどんな時でも礼を忘れるなという親や兄のしつけを思い出し、重い口を開く。
「……怒ってごめん。助けてくれてありがとう」
絞り出すように言ってから、膝を叱咤して立ち上がる。
「ふぅん、ただの甘えた奴じゃないんだ」
意外そうに僅かに目を見開く少年。そんな少年に、流衣は珍しく、若干声を荒げ気味に言う。
「でも! こんなやり方は良くないと思う! 逃げれる時は逃げればいいんだから」
無駄な争いからは、逃げられる時は逃げるものというのが流衣の信条だ。それが家族や友達に関することでは逃げないように努力くらいはするが、単に不良に絡まれた程度なら逃げたもの勝ちだ。
少年はどうでも良さそうに視線をずらす。
「それはお前の考え方だろ。俺は気に食わないものは潰す。それが俺の正義だ」
……何ていうジャイアニズム。流衣は頬を引きつらせる。これが喧嘩程度なら平和だが、毎度こうなら殺伐すぎる。
「それのことは放っておけ。後で部下に始末させる」
「部下……?」
流衣は目を瞬く。
この少年は部下を束ねているような人間なのか? どう見ても流衣と同い年か年上くらいなのに?
っていうか、そもそも死体をそれ呼ばわりって……。
道徳や倫理感がいっせいに頭を横切る。
が、そんな軽い混乱は少年の言葉とともに急停止する。
「〈悪魔の瞳〉って知ってるだろ?」
知っていて当然という口調で、少年は問う。
「〈悪魔の瞳〉……」
それならば知っている。闇物が出回っていたのを止めたことがあり、そこで行商人の女の顔を見てしまったせいで目をつけられ、使い魔でもって監視されていたのだ。あれ以来、何の音沙汰も無かったが……。
(えーと……このフリはまさか……)
流衣は顔を引きつらせたまま、じりっと後ろに下がる。
少年は相変わらず冷めた表情のまま、にぃと口元を吊り上げた。
「俺は、そこの幹部だ。お前、前にユリアの顔見たって奴だろ? エアリーゼから足取りが掴めなかったんだが、ここで見つけて良かったよ。やっと一人になってくれたし?」
「………ひ、人違いじゃないですか……?」
思わず敬語になる。
一難去ってまた一難とは、このことだろうか。
チンピラに追いかけられたと思ったら、次は〈悪魔の瞳〉の幹部。最悪だ。
だらだらと冷や汗をかきつつ、頭の隅で、今日はもう乗合馬車に乗れないのではと嫌な予感を覚える。
「人違いなものか。ネルソフに刻印を刻まれて尚生きているのを、俺は見てたからな。まあ、あれがブラックリストの奴と同じと知った時は流石に驚いたが」
後ろにじりじりと下がるうちに、背中が壁にぶつかった。その衝撃でハッとして、咄嗟に踵を返して逃げに走る。
カカカカッ
「!」
流衣はびたっと立ち止まる。
目の前の壁にスローイングナイフが縦一列に刺さっていた。
「逃げるなよ。せっかく助けてやったんだ、少し話をしようぜ」
振り返った先で、楽しげに金色の目を細めて笑う少年の姿を見つけ、流衣はゾッとする。どう控え目に見ても悪魔の笑みだ。
『坊ちゃん……、ここは誘いに乗りましょう』
逃げてもすぐに捕まると悟ったオルクスが、そっと頭の中に響く声で言う。
――なんでこうなるかな。
流衣は自身の運の悪さを呪いつつ、小さく頷いた。
=蛇足的コメント=
流衣の療養生活の話から書こうかと悩んだけれど、そんなことをしているとストーリーが進まない上にまた脇役が増えるので、却下しました。
おまけ召喚を書き始めてから、一章以来の流衣とオルクスだけという旅だったりします。