Act.One 2人の誓い ともに歩む Vol.4【canvas画に残された押忍身くんの旧友のこと】
押忍身くん、自己改造に躍起になっているって。
ある作家が、幼少の頃、文弱の徒から脱却すべく肉体改造に勤しんだことを模して。
只今、現在進行形は、
名古屋弁を使わず、三河弁で会話をしてくれているじゃん!
美歩の文字を気に入ってくれてて、大学に提出するreport類は手書きなので、私とそっくりな文字に書いてあるがね!
眼鏡からcontact lensに変えて、雰囲気が2時間dramaの旗手を若くしたした感じだよ。
fashionは、U.KのEngland出身でgram rock派のあの方の着こなしが私好きで、
押忍身くんに、どう?おすすめ中です。
全ては、大鷲見さんに相応しい人間になるために。
人としての素敵な人格の持ち主の大鷲見さんに少しでも近づきたいから。と、屈託ない笑顔で。
またまた冗談っぽく聞こえるっ!
でも、時々、ふと。押忍身くん。
暗い表情で、遠くを見つめ、陰を感じる事があるの。
大学に来る前、好きな人がいた?
「あのね、大鷲見さん。少しだけ私の話しに付き合ってください」
小、中、高校と同じ幼馴染みで、原口陽子さんとおっしゃる方が、交際していたとかの深い仲ではなく、ごくありふれた、12年間同じ学校の同級生がいました。
原口さんは、油絵を描く事が素晴らしく、小さい頃から高校まで絵画教室に通うほど熱心に勉強なさって。
高校3年の最終進路を決定する時、原口さんから、
「押忍身さんの存在を、以前から知っていたのだけれども、話しかけることもできず」
「押忍身さんに相談したら、真剣に真面目に相談にのってくれる」
原口さんの希望は、多数のartistを輩出した、東京の美術専門大学でした。
しかし、家の事情があり、だんだん諦めなければならず、でも夢は捨て切れず、どうしたらいい?
高校内なら、授業の合間や放課後に教室で、2人で受験対策が出来たのですが、でも高校外になると。
押忍身くん側に問題が発生していたんだって。
家では異性に対し、電話をかけること、手紙を書くことなどは禁止。届いた手紙が女子の名前なら破り捨ててしまう。日曜や祝日は原則外出禁止。部活動など学校行事では誰と何処へ何時に帰る?の質問責め。
美歩、思わず「ひどすぎる!」
実は原口さんの進路相談は、口実で本当は押忍身くんの人柄に惹かれ、この先一緒にがんばろう!のお願いだったのです。
押忍身くんもうすうす気づいていたのに、抑圧閉鎖的環境の中、打開策を見つけられず、何もしてあげられず、どうしようもできず。卒業。原口さんは名古屋の短期大学に進学。
短大入学前のある日、高校への進路報告会という形を作り、2人、最後の再会になってしまったそうです。
原口さん。
「絵も押忍身さんも、今日で諦めました」
「最後の絵を、押忍身さんの為に描きました。私の事、この絵を見て思い出してね」
作品は、縦100cm,横70cm,奥行2cm、右下に原口さんのsignがしるされて。
と、話してくれました。
この悪夢のような出来事が後日改めて、私達2人にまた起こるとは。知る由もありませんでした。