Act.One 2人の誓い ともに歩む Vol.1【美歩の両親と祖母に初対面の押忍身さん】
押忍身さんは、内気で恥ずかしがり屋の人見知りらしい。
なので今のところ、おしゃべりは私ばかりかな。
それなのに、目をキラキラ、耳を傾けてくれて。
でも、講義中、内容に私が理解してなさそうな表情をすると すかさず、隣席の押忍身さん、解説付きのメモをさりげなく渡してくれる。即問題解決。ありがとう。
授業が終わり帰宅時、豊橋駅では、私の方が先行して列車が出発。また明日会えるのに、名残惜しそうなお見送り。じゃあまた明日!互いに手をふりながら。
少し前の私は、自身を見失い自信喪失状態。
今は喜びを感じ、暖かい光を浴びている。
迷ったとき、ピンチに陥ったときは、「好き!」「楽しい!」と思えるほうを選択すること。
それが最適解で、損得を計算するのではなく、シンプルに心の声に従うことで壁を突破する。
先の事はわからないけれども、これなら4年間、がんばれることができる?
私から押忍身さんに事象や概念の意見を求めると、限定、断定な言葉ではなく、その1つ1つに仮説をたて返答、大鷲見さんならどう考える?と返してくれる。
意見がまとまらないときは、大学の図書室に2人で、時間を忘れて糸口を探し、議論し合う。
あれ?知らぬ間に片時も離れず、行動をともにしている2人がいる。
色々な好奇心がうずきだしたのはいいけれども、のめりこみすぎてしまってStudyholicに。
微熱が続き風邪気味となってしまい、しばらく自宅療養。
「元気にしてるかなあ、押忍身さん」
「はやくおしゃべりしたい」
何故かうずうずしている私。
大学をお休みして、体調が戻り出し1週間ほど過ぎた夕方のこと。
本宅に、一緒にいる祖母から、にこっ!と笑顔で、
「のん、美歩さん。お友だちが玄関先に来とるよ」
彼の翔太とは最近連絡を取っていないし、誰が来てくれたのだろう?
2階の自室から1階玄関先に降りてみるとそこには、 なんと!えっ!
押忍身さんの姿が!
私「よくわかったね。私の自宅」
押「大鷲見さんの友人が『雑貨の彩花』を訪ねてみたら?と言われ伺いました」
父と母がきりもりしているお店のこと。
私「お店に寄った時、父に会わなかった?」
いままでは、彼を含め男友達が私を訪ねて来た時、私が在宅していても父は、
「おらん。帰れ!」
問答無用で追い返していたのだ。
押「はい。お会いしました」
「「本宅にいるから、行っておいでん」って、この場所を教えて下さいました」
私「え?」
良い意味での絶句。こんなこと初めてだ。
押忍身さんのわが家の訪問理由は、大学をお休みしていた間の講義noteを届けに。
母には、大学で困ってた時、助けてくれた人がいる!の話題は以前からしていたので、すぐに気付いたらしい。
父からは、
「いつでも連れて来ていいぞ」
祖母のにこっ!といい。もう!みんな!
帰り際の押忍身さんに、私の本宅、お店の電話番号を渡して。今日はありがとう。父も母も祖母も。
いままで心の奥にせき止めていた、いろいろな思いが、一気にあふれ出し、涙がぼろぼろ。
その夜、押忍身さんから、
「私の方こそ、ありがとうございました」
初架電のお礼call。