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Act.Two 時の流れ それぞれの道へ Vol.12【26歳、時が流れ35歳、2人それぞれの本当の別々の道へ】

 私の業務上の異動は、地元周辺にして頂き、配慮を感謝しています。

 では、新くんは、というと。

 新くんからの初escortの直後、辞令が届き、

 26歳に江戸川 27歳に千住 28歳に浅草 29歳に金沢 30歳に加賀 31歳に松任 32歳に淀川 33歳に茨木 34歳に船場

 35歳に豊川へ。そこでは新くんのいままでの功績を称え、holdingsから、意中の方がいると聞いていたので

condominiumをささやかですが、4SLDKの部屋を用意し、在籍中は経費で落としますので、新しい家族を迎えて下さい。のはからいが。

 この事は新くんから直ぐ連絡を頂き、蒲郡と豊川は隣同士。ようやく息が触れる所にまで来てくれたね。

 この日が来るのをどれだけ待ったことか!

 10年だよ。10年!この気持ちわかる?


 『美歩様をむかえる会』なるものを新くんのお仲間が準備し、あと数日後に控えたある日。


 また悪夢が襲うとは。


 新くんのお仲間から、新くんの退職による『美歩様をむかえる会』中止のお知らせ。

 退職なんて聞いていない!

 

 なにがなんだか。ひょっとして、あの時の二の舞い?

 予想が的中!

 自宅の母から、新くんの従姉様が来訪とのこと。

 まさか?

 

 自宅に戻ると、父と母、従姉様、tableで向き合い、

 父は拳を握りしめ、下を向いたまま小刻みに震えていました。

 母は目を真っ赤にし大粒の涙。

 

 従姉様の涙声で、語ってくれました。

 新くんの家の方が、

 豊川に異動なら、名古屋にはやく戻せ!とholdingsへ直談判しに来社したらしい。

 常識ではあるまじき行動に、新くんは次期役員候補にentryされていたにも関わらず、責任を取る形で退職届を提出。

 家の方が名古屋に戻せと言った本当の理由は、

 自宅に一刻も早く本家普請を自身が気に入った設計、材料で建築したいがために。

 返済は新くんに全て押し付け、支払わなかったとか。

 その前に支払い能力がなかったらしい。

 必要書類等にほぼ無理矢理署名捺印させ、でも新くんは家の方の顔をたて文句も言わず従ったそう。


 一部始終事の詳細を聞いた従姉様の義父様が、新くんの家の方の振る舞いに

 「絶対に許さん」

 「退職届については、立場上受理する」

 「進路、住居等は外にもれないよう極秘扱いにする」

 「君を支えたいと同じ部内の女子社員から申し出があったと聞いた。必ず幸せになれ」

 「私の目が黒い間は全面協力するから安心しろ」

 

 この後、家の方が逝去するまで、新くんは自宅に、絶対に戻らなかったそうです。


 続けて、従姉様、私の手を両手で握りしめ

 「お願い。新治のこと許してあげて」

 「義父の話によると、常務会では、幾人から新治を自身の息女に紹介してほしい申し出があっても、新治はすべて断っていたらしいの。蒲郡に残している方がいるからと」

 「その理由なのだろうね。何度も蒲郡にある関連施設に出向させて!と申請していたらしいわよ」

 「新治の家の方から美歩さんに対しなんらかの危害が今、これから及ぶのを恐れたみたい」

 「身を隠しながらの生活を、美歩さんには申し訳なく、お願いするなんて言語道断だし、似合わない。堂々と表に出てさらに活躍すべきと新治が言っていたわ」

 「お願い!」

 だからといって「はい、わかりました」って言える?

 納得できないことぐらいわかりきっているのに。


 私の父の落胆ぶり、母の目が腫れてしまう泣きよう、

 新くんのこと、ではなく、私のこの先の行く末を案じているのである。


 25歳の時、あの帰り道、この日を予測して新くんは、2人はなればなれにならないようにするためには、はなればなれになったとしても、たった今この場で何か行動を起こせば、2人の取り合う手を離さない方法なるものを。

 

 もし、2人の考えが同じだとしたらきっと……だったかもしれません。いや同じ行動をしたはず。

 以前母と私、新くんとの会話で、母がこんなこと言っていたことを思い出しました。

 「新治さんにもし子どもさんができて、女の子だったらもう大事に大切に、かわいがるのでしょうね」

 

 あっ!おかあさん。ごめんね。

 

 時間よ、もどれ!

 

 35歳。


 新くん、5月に結婚。

 私、7ヶ月後 12月に結婚。


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