Act.Two 時の流れ それぞれの道へ Vol.11【25歳 新くんからの初escortそして……】
仲間内の間では、25歳は結婚感の分水嶺とも言うらしい、ウソかマコトか、私にはどうでもいい一笑に付すことなのだが。といいつつもやはり気になる。一応適齢期の女性の一人として。
私のsectionの中で、私は行動力がすごすぎて近寄り難い存在、かっこいいしきれいだしの高嶺の花、すでに許婚がいる、など色々な噂があるらしく、言い寄る男性諸氏が幸いにも皆無なので、静かなのは大変ありがたかったです。
そこで問題なのは、新くん。
当然仕事は大事だよ。私もprivateより仕事を優先する時もあるけれども。
それに、2人は準遠距離再会。久方にお会いしても帰路時間が気になり、ゆっくりおしゃべりができない。
だから、そろそろ不安、心配なく2人がいられてもいいんじゃない?
心の叫び!届け!いますぐ!はやく気が付け!
数日後、新くんからお誘いが。実は初めて!
列車の到着時間は連絡済。本当に遠かった!
駅には定刻到着、そのまま新くんの自家用車で出発。
はじめに、国宝のお城の麓にある茶室で、お抹茶を頂き。
続いて、化粧品販売を主に多方面を運営する企業の現代美術館にて、美術鑑賞。
そして、とある大河のたもとに立つsymbol-towerに。最上階から見る景色、本当に何もない!のどか!
日も暮れだし、お腹が空いたところで新くんが、業務上で接待用の行きつけのお店を案内してくれることに。
堅苦しい場所、と想像していたのだが、こじんまりとして、きさくな雰囲気が印象的な、ろばた串焼きのお店でした。
店に入るなり「押忍くん、やっとかめやなあ」
友達の家へ遊びに来た感覚で私達を店主がお出迎え。
ここで私のまだ知らない新くんを知ることができるなんて!
まず、店主と新くんが知り合った理由が微笑ましい。
店主には、娘様が1人いらっしゃり、もう卒業されているのですが、娘様と新くんは同じ高校で、娘様は高校1年生で、新くんは3年生の時。
娘様は新くんに一目惚れ。でも新くんは受験でなかなか話せない。そこで一考。
娘様の父そう目の前の店主が商社を退職し、自宅を改装して店を開くことに。
「大学に入ったらうちの店へ来て!友達割引にするから」とお誘いしたそう。
大学へ入学しお約束通り、お店に足を運び、新くんと店主が初対面。
店主、商社で多数の方々と駆け引きした経験から人を見る眼識は確からしく、新くんと少し話した途端、
新くんに、
「うちの娘の婿になってくれないか?」
と哀願したそうです。
その時の新くんの答えが、
「大学で、答えはもらっていませんが心に寄せる方がいるのです」
でも店主は、なかなか諦めきれず。
今こうして目の前の私と会い、
「納得!あきらめた。釣り合いは大切だもんな」
娘様は、すでに社会人になっておりちょうど帰宅。
4人で大盛り上がりの食事会。alcoholは無しで。
「押忍くん、alcoholはまったく受け付けず超下戸なんだわ。いつもjuiceか烏龍茶ばかり」
「接待でも私用でも、女性を連れてきたことは一度も無かったなあ」
「あなた様が初めてだわ」
高校時代の2人のepisodeや娘様から見た新くんはどんな高校生だったか?続々と出るわ出るわ。
しかし、新くんと娘様、本当の兄と妹のように、いやらしさがなく仲良しで、私にはあまり見せない優しい眼差しを傾けている。それに対し新くんを見つめる娘様の甘える視線は、もうヤキモチを妬きそうだよ!!
新くんの意外な過去が見れて、おなかのそこから笑って、年甲斐もなく嫉妬して。
「また伺います」とお約束して、店主家族とお別れ。
帰路は蒲郡の自宅まで新くんの自家用車で送ってもらえることに。
車内では、今日の事や大学時代の話題のおしゃべりで再び大騒ぎになっていたのに、でも緊張と疲れから知らぬ間に眠ってしまい、気が付いた時は自宅のお布団の中でした。
今日はありがとう。楽しかったよ。また行こう!
しかし、あの日新くんが蒲郡の自宅まで送って下さった理由に後日気が付き、後戻りができない後悔となりました。
25歳。その日が私と新くんの独身時代最後の目の前でのおしゃべりになりました。