Act.One 2人の誓い ともに歩む Prologue【不思議な縁という名の出会い】
厳しいuniversity-entrance-examを切り抜け、迎えたこの春。
大学構内は晴やかに、誇らしげに、そして、洗練されたstylishに着こなし闊歩する1期生が集う。
その中に、不安に満ちた浮かない顔の私がいる。
私の名前は、大鷲見美歩。
お付き合いしている彼と、受験校は名古屋の同じ大学を目指していたのに、私の両親から名古屋の大学は不可!って宣告。
名古屋は、ワルイムシがいっぱいいるし、通学に時間と列車の定期代が相当かかるから。
で、豊橋なら、とお許し。
蒲郡在住の私にとって普通列車なら17分ほどで豊橋に到着。定期代も許容範囲。それが両親には安心だとか。
結局、彼は名古屋、私は豊橋 の大学となり離ればなれ。夢のcampus-lifeは何処にいった?
初日から、漠然とした不安と心配で足元がおぼつかず、大学構内で思い切りつまずき、転んでしまう始末。
「痛たたた!やっちゃった!」
手持ちの文房具は、さんばらまき状態に。
もう、涙が。
「助けて、翔太!」彼の名前を心の中で叫んでしまった。つらいよ。さびしいよ。痛いよ。
その時、私の横に見知らぬ男子が手を差し伸べ。
「おみゃあさん、だいじょうぶきゃあ?」
「文房具、全部ひろったるで、安心しや」
「絆創膏もっとるで、擦りむいたとこ貼ったるわ」
あっという間の救出劇で、すぐ立ち去り何処かに行ってしまった男子。
それから数日後、悪いことは続くもの。
大学から自宅に帰宅途中のとある場所、モデルにならない?またしつこくscoutもどきにつかまり、以前に同じsceneでは、姉の真歩と一緒の時、姉が撃退してくれたけれども。
今は一人。誰か助けて!でも声が出ない!
すると、私の怪我の手当てをしてくれた、私と同じ帰宅途中だろうあの男子が、
「いやがっとるに、やめやあせ」
といいながら、scoutもどきをあっという間にねじ伏せているではありませんか。
「然るべき所に連れてくで、はよかえりゃあ」
「怖かったやろう。元気だしっ!また学校であおまい」
と、言いながらまたすぐに姿を消した。
お礼を言えぬまま。
数日後、教養課程の外国語科目英語がスタート。
「英語は大の苦手なんだよなあ」
いやいや教室に入室すると、眼の前に2回も助けてくれた、あの男子が着席しているではありませんか!
「あれま。やっとかめだなも」と男子から挨拶。
すかさず私。「先日のお礼がままならずごめんなさい。2回も助けてくれて」
ありがとう!ってようやく感謝の言葉を伝える事ができた。ペコリとお辞儀も。
講義開始前の初おしゃべり。
同じ法学部なんだね。
第2外国語はドイツ語!
人文、自然は何を選択した?
数理、情報は美歩に任せて。
et cetera…
いつの間にか席がかの男子の隣りで、話しに夢中になっている私がいる。先程のいやいや、何処行った?
男子の名前は、押忍身 新治さん。
名古屋弁丸出し、西尾州から通学だって。
こうして、私、大鷲見美歩と押忍身新治さんとは、この後40年の交流が続く運命の出会いとなった。