第43話□人助け
暑い日が続きます。皆様熱中症に気をつけてお過ごしくださいよろしくお願いします。
「ステータスオープン、レベル62、魔力値6735、聖女、聖戦士、殲滅姫」
レベルと魔力値が上がっている。戦闘続きだったからなあ。時々チェックしないといけないわね。
昨夜魔人が襲ってきたので今日はその後片付けをしている。と言っても私は怪我をした人の治療を簡易テントで行っている。今日の報酬はギルドから出るので、ここに並んでる人たちからはお金は取らない。
「次の人どうぞー」
昨日の騒ぎで建物の下敷きになった人や魔人の攻撃で怪我した人達がほとんどだった。時々持病で腰が悪い人なんかも来るけれどみんな治している。
あの2人の妖精がいない。またどこかでいたずらでもしているんだろう。または美味しい店のリサーチかなんかをしているのかな?一体何を考えているんだ?
治療が終わり夕方になったので呼び出しを受けている冒険者ギルドへ向かった。
「聖女様本日は町の人たちの治療ありがとうございました。今日は諸々の報酬をお支払いします」
「はい、ありがとうございます」
「まず先遣隊討伐報酬が金貨200枚、昨日の魔人マーラリの討伐報酬が金貨500枚、治療費が金貨3枚、合計金貨703枚になります」
「金貨700枚は私の口座に入れておいてください」
「それから朗報が一つあります。 我が国を攻めていた魔王軍が全軍撤退を始めたのです。これも全ては聖女様の働きによるものと思われます」
「え!そうなんですか?」
「7つの軍団の2つを壊滅させられ将軍を3人も失ったのですから当然だと思います」
魔王軍が引き上げるなんて信じられないわ。また襲ってくるに決まってる。これは一時的な撤退ね。
「皇帝ジークフリート·オスタルコルは感謝の意を表し聖女様を歓待したいとの事でした。どうぞ迎えの馬車にお乗りください」
歓待?冗談じゃないわ!権力者なんて何を考えてるか分かったもんじゃない!また斬りつけられたんじゃあたまらないわ!謹んでお断りしよう。
「あのーお気持ちは嬉しいのですがそろそろ次の場所へ行かないといけません。患者が待っていますので失礼致します」
「な、何と慈悲深い方なのでしょう!あのそれでどちらに向かわれるのですか?」
しまった!とっさに患者が待ってるなんて言ったけど全く当てがないわ。そうだ!帝国でも北東部地方は被害があったって聞くからそちらに行ってみようかしら。
「地名までは分かりませんが帝国の北東部地方は被害があったと思いますのでそちらに治療に行こうと思います」
「ありがとうございます。何とお優しい方なのだ。ううぅ」
すいません。皇帝になんて会いたくない! ただそれだけなんです。治療しに行くと言った手前いつまでもここに留まってはいられない。転移の羽を使って東のテウル市に移動した。
「ねえねえセイ?今日はここの甘いのを堪能するの?」
「セイ様あのハゲ頭に落書きしたいのですがちょっとだけ行ってもいいでしょうか?」
「あなたたちは一生やってなさい。私はここより北に行って困っている人を助けます」
「何格好つけてるの〜クレープ食べに行こうよ〜」
「あはははは頭の上に生クリーム乗せたら赤ちゃんみたい〜はははははは」
こんなアホどもはほっといて北の町へ行ってみよう。私はフェンリルゴーレムを出して鞍を乗せた。そして北へ向かって走り出した。30分もすると村に到着した。結構家が壊れているけど人はたくさんいるようだった。
「旅の治癒士です。お困りの人がいたら見ますよ。宿さえ見てくれればただで治しますよー!」
「本当か?ぜひ頼む」
村の集会所に案内してもらいそこで怪我人や病人を見ることになった。怪我人は50人位いて程度は様々だった。手足のない人や内臓が傷ついてる人や立てない人もいた。
「エクストラヒール!」
「うおー俺の足が生えたー!ありがとうございます!ありがとうございます!これでまた働けます!」
「はいよかったですね。次の方どうぞー」
まあ人助けをすると言った手前何もしないわけにもいかないし、こういうのもいいんじゃないかな。 それに修行になるしね。
「ちょっと聞いておくれよ〜うちの嫁がねえ、あたしに辛く当たるんだよー」
「あー大変ですね〜おばあさん。でも手も治ったし何とかなりますよ」
「ありがとうねえ、ありがとう」
こうしてみんなを治療していったがお昼前には全部終わってしまった。治療時間が短くなっているのに驚いた。魔力値が多くなったせいか?いや強くなっているのか?
村の人達がお昼を用意してくれたのでごちそうになってから次の村へ出発した。
前の世界と違ってこちらの町や村には必ず壁が張り巡らされている。壁があるから村があるとすぐに分かる。一人で壁もなしに住んでいるのは私ぐらいだろう
次の村でも同じように言って治療行為をさせてもらった。ここにも困っている人は40人ほどいてちょうど夕方には治療が終わった。
「聖女様今日はこちらのお家でお休みください。みんなと一緒ですみませんねえ」
どこに行ってもそうなのだが治療が終わる頃になると自然と聖女様と言われるようになる。
「いえ、とても楽しいですよ」
「その聖女様の近くで光っている玉は何なのでしょうか」
「ああ、これは私の守り神?いや役立たず?あーお友達かな?」
「それはよかったですね」
一人になったので妖精たちも姿を現した。いつもはこの光の玉すら見えないのだが、ここの人たちがいい人達なのが分かったのかな。ご飯とお菓子を出してあげた。
「セイ様この人助けはいつまで続けるのですか?」
「適当にやってまたお金儲けしようよー」
「王国にいるのが嫌でこっちへ来たんだから、しばらくはこの生活でいいんじゃないかな。それに毎日知らない村に行けて私は楽しいよ。魔力値も伸びるしね」
「そうね。このお芋を蒸したのも案外美味しいわね」
「セイ様がそう言うなら問題ありませんね」
ん?何か問題あるのかな?まあしばらくはこの生活を続けましょう。
私たちは1週間ほどこんな生活を続けてついにクファニムと言う町に着いた。町の半分は壊されているが人はまだ沢山いた。
早速治療行為をしたいがここまで大きな町だと報酬なしというわけにはいかない。他にも同じようなことで生活をしている者がいるからだ。
町長さんに話してみたら建物を貸してくれ体に欠損のある人を治すことを許可してくれた。費用は町から出すそうだ。まあこれは表向きでほとんどボランティア活動になる。こうして町の皆さんを治療する日が続いた。
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